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桐山side
淳太が振られた日の三日後ぐらいかな。
俺は、風邪をひいて病院に向かった。
「桐山さん、お薬だしておきますね。」
「ありがとうございます。」
そう言って診察室を後にした。
そんな矢先やった。見つけてしまった。
見覚えのある背中。
綺麗な黒髪。
間違いない。Aや。
「A!!」
彼女の名前を呼ぶと驚いたようにこちらを振り返った。
なんで、淳太を傷つけたん?
なんで淳太で遊んだん、
一体淳太は何をしたん?
聞きたいことは山ほどあった。
それなのに...そんな俺の考えは彼女の一言で
消え去ることになる。
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「ごめんなさい。どちら様ですか?」
「...え?」
彼女の瞳に俺はもう写っていなかった。
「照史やで?桐山照史!」
そう言うとハッとしたかのようにポケットからノートを取り出してパラパラとめくり始めた。
「...きり、やま...あ、き...と。」
確かめる様に俺の名前を呼ぶ。
まさか、なんも覚えてへんとかないやろ?
「...淳太くん...の。」
全てがわかったように俺の顔をみた。
「...なんのようですか?」
そしてまたいきなり表情を変えたA
「ここでもなんやから、屋上でもいかへん?」
俺は彼女を屋上に誘った。
行く途中会話なんて一切しなかった。
ドアを開ければ今の俺に似つかわしくない青空が広がっていた。
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作者名:ひめ | 作成日時:2018年1月14日 20時