１２(過去) ページ13
「私は、中間淳太さんとの思い出がありません、」
そういうと照史さんは意味がわからない。というような顔をした。
「明日の私は桐山照史さんとの思い出がありません。」
そういうともっと複雑な顔をした照史さん、
「私の記憶は...１日でリセットされるんです。」
「...え？」
「一目惚れをしてもそんな気持ちなんて明日になったら消えてしまう。
好きってどんな気持ちは、１日ごとに忘れてしまう。
中間淳太さんはそんな私に恋をしてしまったんです。
１日経ったら自分の事を忘れてしまうのに...
それに気づかず恋をしました。」
「...言ってへんかったん？」
「はい。...怖かった。また裏切られるかもしれない。人が...また離れていくのが怖かった。」
「.......」
「淳太さんに告白された時は、流石に断らなきゃって思っていたみたいです。...ごめんなさい。人事みたいに話してしまって...」
「...ええよ、」
「告白された時の感情、思ったこと、言ったこと。私はノートに書かれている事を信じるしかないんです。もしノートにその日は嬉しかった。って書かれていたらあぁ、嬉しいんだな。悲しかったって書いてればあぁ、悲しいんだな。こんな事を言われると私は嬉しくなるんだな。...いや、ならなきゃいけないんだな...そう思ってしまうんです。」
「...好きかどうかも...わからないのに、」
「Aちゃん...」
「私は誰かに関わっちゃいけないんです。皆が不幸になるんです。もう...ダメなんです」
「そんなことない！！諦めるなや！」
「...諦めるな？ﾌﾌｯ、あなたに何がわかるんですか...？」
「...ｯ、」
「分かるはずもないですよ！！毎朝ノートを見返して1人1人名前を覚えるのに必死なんです！覚えてなかった時の相手の表情が私には耐えられないんです！楽しかった瞬間も...辛かったことも...ノートに書いているだけで頭には残らないんですよ！...だから私決めたんです。」
「...え？」
「このノートを捨てることにしたんです。」
「でも...思い出がつまってるんやないん...」
「その思い出が！私を苦しめてるんですよ...」
「ｯ」
「だからもう...私の前に現れないでください。
覚えてないんで、」
そうニコッと笑うとAちゃんは帰っていってしまった。
...淳太...ごめんな。
俺、淳太を裏切る事になるかもしれへんわ...
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作者名：ひめ | 作成日時：2018年1月14日 20時
