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side.A
あれから1週間が経った
特に、会うこともなく ただただ時間が経った。
楽器も時々吹いたけど 調子がよくなくて
曲を吹く気にはなれなかった
『 コンソメスープとハンバーグだから... お肉は新しく買わなきゃ... あとは...』
冷蔵庫を眺めながらレシピを考える
今日は、昼から2人はいないから
ご飯は作って食べないといけない
外に出ると 見た事のある顔があった
篤「久しぶり。」
『お久しぶりです。今日は麻也さんは?』
篤「そんな、あいつ毎日いる訳じゃないから。」
『ですよね。買い物?』
篤「ううん。練習から帰ってきた」
練習?
車の練習...?
免許取りたてとか....
篤「そっちは? 買い物?」
『う、うん。 晩御飯のね 買い出し』
篤「送ろうか?」
『え?』
突然何を言い出すのかと思えば 車のキーを再び開けて 入れ と命令してくる 彼
NOと何度言っても 懲りずに 乗れ、 と命令形
そろそろどっちかが折れないと きりがないと思っても 向こうは折れる気がなさそうだし
結局私が折れて スーパーまで送ってもらうことになった
運転初心者の割にはうまくて
片手で運転も 軽々とする
『内田さんは、一人暮らし? 』
篤「うん。 」
『なんで ドイツにきたの? 留学とか?』
篤「・・・」
いきなり黙り込む内田さん
あ、もしかして これは聞いてはいけなかった?
なにか複雑な事情があるのかもしれない
篤「内田さんって呼ぶのやめて」
『え?』
篤「なんか、記者に呼ばれてるみたいで嫌なんだけど」
記者....ねぇ
面白い例え だ
じゃあなんて呼べばいい?
ご近所さんに 下の名前はおかしいでしょ?
『篤人 さん...?』
篤「だから、 さんが余計だって」
『篤人くん....篤くん....』
篤「まぁ、そのへんで適当に呼んで」
ミラーで見える 篤くんの顔はなんだかムスッとしてる
無愛想なのは知ってるよ、 でも下の名前で呼ぶまでになってんだから
笑ってよね
篤「俺は? なんて呼べばいい」
『マイアー? Aでもいいし...』
篤「Aさんは、 ご家族と一緒にすんでるの?」
さん 付けやめろって言ってたくせに...
でもなんか、ちょっと笑顔になった気がしたから
許してやろう。
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作者名:とうふ みゅうな | 作成日時:2017年6月18日 20時