一生の温もりをきみへ。4

かえろ？ ** ページ15

手越side




この世界にはルールがある




否、礼儀というべきかもしれないけど。






ガヤガヤと楽しげな声が
重なり合って
大きくなって

それが煩いとまで
思ったとき、そんな自分が
嫌いだと思った






……あ、


小山さんだ





先輩と後輩の間に
上手く入って
自分で話題もつくれる

昔からそう、

彼はよく周りを見てるから
上手いんだ、人付き合い







近くにシゲもいた、



小山さんとはまた別の
グループと話してる
インチキインテリボーイ

いつの間にか
彼も積極的になった

きっとそうやって
進んでいくんだね



ちょっと前までは
一緒にいたのに


…変われないのは、俺だけ









増田さんのグループは
後輩だらけだ、


そりゃそうだよね

ジャニーズの鏡だもん。




一生懸命に何かを
話す後輩を優しい目で
見つめる増田さん、




でも…、




「…っ、！……」






目が合った



ふいに視線をずらしたときに
視界に入ったのか

それとも俺がここにいるのを
知っていたのか。







何を思ったのか分からないけど
小さく手招きをされて

素直に彼の元へ1歩踏み出して
足を止める



だめ、





あの子たちは増田さんと
話せる絶好の機会なんだから。




チャンスを邪魔するなんて、
出来ない




それがどれだけ
本人にとって大事なのか
俺は1番、分かってるから。








くるっと背を向けて走る




もちろん、
注目なんてされないよう静かに







ジャニーズが大勢集まる楽屋、


俺一人いなくなったって
何も起こらない。









それなのに、


出ていこうとドアノブに
手をかけたところで


ぐいっと手を引かれて俯く……






どうして、？

俺なんか気にしないでよ



だめじゃん、
後輩ほっぽってきたら






……増田さん。

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