こわくないよ。

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曖昧な意識のなか
握られていた手を握り返す

この手はけぇちゃんだ





「手越、おきた？
大丈夫？具合悪い？しんどい？」




あ、やっぱり




「ねぇ、ねぇ、何笑ってるの！」

「ふふ、けぇちゃんだぁって思って」

「何それ〜、」




楽しそうに笑う小山さんを見て
少しだけ安心した





「いつの間に 俺ん家、きたの」

「だよね、覚えてないよね、
ちゃんと手越と話し合ったんだよ、
そんでマネと来たの」





「、…ごめんね」

下向きがちに謝ると
髪をくしゃくしゃにされる

そんな優しくされたら
また泣いちゃうよ

そう思ってる間にも
どんどん視界は滲んでいく





「なんで泣くの〜」

よしよししながら
ぎゅっと抱きしめられて
余計に涙が出る

「けぇちゃぁ、」




顔は見えないから分からないけど
多分けぇちゃんも もらい泣きしてる



「…今日、ごめんなさいっ、
あのね、薬、飲まなかったの、」

「え？」

「薬に頼るなんて嫌だから、
っでも、みんなに迷惑かけちゃった、」

「そっかぁ、
しんどかったでしょ、頑張ったね」





怒ってもおかしくないのに
けぇちゃんはどこまでも優しい




「だけどね、手越が
辛いのは嫌だよ。薬飲めば
結構 楽になるみたいだし、
大丈夫、手越は強いよ」




うん、そうだよね

ただただ苦しい胸に
気付かないふりをして
へらっと笑ってみせた

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