こわくないよ。

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増田視点

*

手越がもぞりと動く

さっき寝た気がしたけど
まだ起きてたのかなと思って
放っておいたら

ふとした瞬間から唸りだした




「てごし？どうした、」

ゆっくり覗くと
目はきつく閉じられていて
手は胃を押さえている




「大丈夫？…なに、起きてるの？」

返事がかえってこないってことは
寝ているのだろうか

この様子だと今日はもう
仕事は難しいかもしれない

別にいいよ休んでも
お前ならすぐ治せるだろ






・
・
・

しげ視点

*

小山と話しているうちに
楽屋についた

もう2人は来ているのかもしれない

小山に続いて中に入ると

ソファで寝てる手越と
そのすぐそばで座ってるまっすーの
姿がみえる






「なに、てごちゃん
まだしんどそうなの？」




俺らが上着を脱いで
荷物をおくと
まっすーは口を開いた





「なんか やばそうだよ、
顔色悪かったから寝かしたんだけど
ずっと唸ってるし」

手越に近寄って
まっすーのように覗き込むと
目をぎゅっと瞑る手越がいた




「胃、押さえてるね。」

「いたいのかな、」


小山が 顔をなぞると
うっすら目を開けた




「てごちゃん、具合悪いね。
今日お仕事お休みにしようね」





これは言いたくても
俺らじゃ言えないことだ

まっすーや俺が言えないのを
こいつは分かっているのかいないのかは
知らないが
そこはちゃんとリーダーをしてくれる

でもここで手越は
引き下がるだろうか

今まで どんなにキツくても
やってきた手越のことだ
嫌だっていう可能性だって
無いわけじゃない




「…ぅ、」

「手越？」




「…っ、…う、ぅ」




唸る手越をみて
俺らは顔を合わせた

そして小山はスタッフのもとへ
まっすーは
マネージャーのもとへ行ってしまい

残った俺は、
手越に呼びかけた



「手越、大丈夫だよ。
もう帰るからな、聞こえる？」

「…っん、…し、げぇ」



「うん、しげだよ。
手越、体 起こせる？」





ふるふると首を横に振った
手越をみて
ゆっくり体を起こしてやる




「しげ、…しげぇ、」

「なになに、手越？」




頭を肩にのせ
体重を預けさせると
ちょうどまっすーが帰ってきた



「ほかの仕事も延期してもらえた」





あぁ、ならよかった
手越もゆっくり休めるね





「ごめ、なさ、…ごめんなさ、ぃ」

うわ言のように
謝り続ける手越に
背中をさすっていると
いつの間にか
小山も戻ってきていた

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