醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ8)

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Story.8 ページ8

「出ていってもらう、というのは少し誤解を与えるか。

……つまり、君には別の住居を与える。無論、政府の監視下には置いたままだ。まだ危険な個性を持っていることには変わりないからね。

生活資金は前言ったようにこちら持ちだから安心してくれ」

まあ、要は病室生活は終了。
検査や診察、実験ばかりの生活からはおさらばだということだ。

多分、実験とか諸々をした結果、制御装置のようなものを開発出来たんだろう。…腑に落ちないが。

もう、出られるなら何でもいい。
俺は「で？」と、話を急かすように聞く。

きっとスーツ野郎のことだから、話には続きがあるのだろう、と判断したまでだ。

「雄英高校のヒーロー科に入ってもらう」

____そして唐突に落下してきた爆弾発言。
は？と、思わず聞き返すが、スーツ野郎は同じことをロボットのように繰り返し告げる。

雄英高校？ヒーロー科？
は？……意味わかんねぇんだけど。

_____ｶﾞｼｬﾝｯｯｯ

気が付けば、俺の足元にはグシャグシャになった診察器具やら椅子やらがあった。

はー、はー、と何度か荒くなった息を繰り返し呼吸し、落ち着かせる。

スーツ野郎も、医者も、特に怯える様子もなく、平然と俺のことを見下すように見つめている気がして。

それにまた苛立って、何度も何度も床を殴るように叩き付ける。

「君がヒーローを何故嫌っているのか、取り調べの時には何も告げてくれなかったが……本当に、心の底から嫌いなんだね」

その言葉は、俺がこの反応をするだろうと予想していたからこそ言えるものだった。

「てめぇ___！」

「だけど」

殴り掛かろうとした瞬間、スーツ野郎は遮るように、押さえ付けるように強く言い放つ。

「ヒーロー科に入ることで、君は……個性を制御する訓練を受けることが出来る。最高峰ともなれば、更により精密な訓練が出来るだろう」

ピタリ、と身体は止まる。

ヒーロー科で、個性の制御をする為の訓練を受ける。

もし、制御が自力で出来るようになれば…俺はきっと、もう、化け物なんて呼ばれなくなるのかもしれない。

だが、それはヒーローを志している馬鹿達と共に過ごすということ。俺を見捨てた、ヒーローという存在を目指す、表しか知らない奴らと過ごすということ。

それはすごく、俺にとっては屈辱的なことだ。
不愉快極まりないことだ。

拳を下ろして、スーツ野郎の方を睨みつける。
……スーツ野郎の目は、何もかもを見通しているような、そんな気がした。