醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ7)

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Story.7 ページ7

診察室に入ると、いつぶりだろうか。
あのスーツ野郎が目の前にいた。

医者と並んで、それはもう何も読み取れない無表情で。

「久しぶりだね、朔亜くん。変わりないようで安心したよ」

「一切変化を与えられない生活してたらそりゃそうなるわ。…嫌な予感しかしねぇんだけど」

まあまあ、と椅子に座るよう促すスーツ野郎。
そしてケースのようなものから何かを取り出し、それを手渡した。

は、と思わず呟いたが、あまりにもグイグイと強引に押し付けてくるので思わずそれに従う。

黒いチョーカーと、黒いマスク。
柄は何一つ無い、漆黒の色。

「何だこれ」

そう聞くがスーツ野郎は更に何かを押し付けてきた。チョーカーやマスクよりも、大きい布のようなものを。

大人しくそれも受け取り、畳まれていたそれを広げると、これまた黒いパーカーだった。
フードの内側は、見えにくいものの迷彩柄になっていて少し洒落てるように見える。

スーツ野郎の方を見ると、ニコニコとしていた。あまりにも珍しい表情をしていたから、思わず凝視してしまったのは言うまでもない。

いや、ニコニコされても分かんねぇんだけど。

思わず心の中でツッコミを入れる。
それが届いたのかどうかは知らないが、スーツ野郎は咳払いを一つして、口を開いた。

「マスクとフード付きのパーカーは君の個性が万が一(・・・)暴走し、あの黒い痣が身体に現れた時、少しでも見えにくくする為のものだ。

そしてそのチョーカーは、仮に君が個性を使っても制御出来る…まあ、黒い痣が出ない範囲まで強制的に抑える装置が施されている」

「へー」

よく分からないが、貰えるなら貰っておこう。
とりあえずチョーカーを首に付けろと指示されたので、大人しくそれに従うことにした。

そして、スーツ野郎は静かに俺の方を見て告げる。

「良いかい、朔亜くん。
そのチョーカーは決して外してはいけない。どんな理由があろうとも、絶対に、だ。それが君を守る唯一の方法だからね」

スーツ野郎の迫力に気圧され、静かに何度も首を縦に動かす。

が、それだとまるで此処から出られると期待せざるを得ない物言いでは無いだろうか。

「そのパーカーも、そのマスクも。外では絶対に身に付けること。もし黒い痣が出てきても、それなら多少隠せるからね。

で、だ。本題に入るが……君には此処から出てもらう」

ああ、うん。もう、何というか。
そんな素振りとか前振りが一切無いから困惑するしかないのだが____。