醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ5)

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Story.5 ページ5

俺の、そこからの日々は最悪だった。

個室の病室からは一歩も出ることを許されず、偶に部屋に来る医者や看護婦達は怯えた目で俺を見ていた。

……もう、その目にもその表情にも、慣れてしまった自分がいる。

そして別室に移されたと思えば、強制的に個性を発動させられ、威力がどれほど出るのかという実験紛いのこともさせられた。

無論、それはとても苦しいものだ。自分の意思に反して強制的に発動させられるというのは、身体に負担もかかるし、下手したら気絶する。

それでもあいつらが躊躇なく俺にそうするのは、早くその危険な個性を制御させたいがための焦りからだということを、理解している。

……それでも、嫌なものは嫌だ。
苦しいことは嫌いだし、無理やり人にやらされるのも大嫌いだ。

そう思って、抜け出そうと何度も試みるが、瞬時に捕まって病室に逆戻り。

個性を発動しようとしても、どうやら個性を無効化できるらしい個性を持っていて、発動出来ないまま終わる。

振り切ろうと腕を振り上げて、逃げ出せたとしても変な捕縛武器に捕まって呆気なく病室に送られる。

逃げ出す度に病室は頑丈に、厳重に鍵やパスワード、指紋認証といったものがガチガチに固められていったのだ。

「……ｯくそ！！何で俺がこんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ！！俺が何したってんだ！！」

何をしたのかは明白だ。
そんなこと自分でも頭で理解出来ている。

……けれど、もし、もしも。

____自分の個性が、どこにでも在るような平凡なものだったら。…自分が、無個性だったら。

呆れられるかもしれない。

雑魚個性だと罵られるかもしれない。

無個性ごときがと責められるかもしれない。

それでも……周りに化け物だと、言われることはなかっただろう。家族に、親戚に……ヒーローにだって、見捨てられることは無かっただろう。

普通の人間ならば、どれほど良かったのだろう。否、そもそも普通とは、なんなのだろうか。

そんな空虚な妄想も、戯言も、何もかも飽きたのだ。

そんなこと何度も考えた。そんなのは何回だって思った。けれど、現実は何も変わらない。変わってくれやしない。

ただ自分に、この個性を持ってしまったことを恨むしかない。この個性を手にしてしまった自分を憎むしかない。

ただ自分を、何も知ろうとしてくれない大人達を、周りの人間たちを拒絶する他無かった。