醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ4)

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Story.4 ページ4

男は告げる。

「ただの強化個性にしてはあまりにも凶悪すぎる」と。

よく分からないが、暴走していた時の俺は黒い痣のようなものに覆われていたらしく、身体を守るように黒いオーラがまとわりついていたらしい。

周りの建物は、俺が触れただけで跡形もなく消え去っていた、と。

そこら辺の話は詳しくない、というより興味が無かったから聞き流していたが、とりあえず自分の個性は普通ではないことは確かな事実だった。

「今回君の個性が暴走したことによって、周りの住宅はほとんど壊滅状態。加えて一般市民にも怪我等の被害が出ている。____本当に、家を留守にしやすい時間帯でよかったよ」

ふう、と息をつくスーツ野郎(もう面倒だからそう呼ぶことにした)は、咳払いを何度か繰り返す。

「単刀直入に聞くが……君、家族は？」

「居ねぇに決まってんだろ馬鹿かお前」

目を逸らしながらそう聞いてくるスーツ野郎に、俺はすぐさま返した。

俺の言葉に「バッ…！！」と目を丸くしながら口をパクパクと開閉を繰り返しているスーツ野郎を、心の中で案外チョロそうな性格してんな、と思いつつ、話を続ける。

「……聞かれそうだから一応言っとく。生活資金とかは親戚から毎月仕送りで来てる。
まあ…アイツらは俺を拒んでるし、金以外の面倒なんざ一切見ぬ振りしてっから個性届云々もやってなかったんだろ。

自分で個性届を出すという発想は無かったけどな」

スーツ野郎はボソリと「そこは出してほしかった…」と呟いた。

何で個性届しなくちゃいけねぇんだ、と当たり前のことを疑問に思いつつ、俺は聞く。

「で、どうすんだよこれから。どうせ少年院送りとかだろうけど」

俺の予想はどうやら違ったらしく、スーツ野郎は首を横に振った。

「……君はこれから政府の監視下におかれる。
君の個性を制御するための装置も作る。政府は君を___国の危険因子(・・・・)とみなした」

ひゅ、と喉から空気が漏れる。
想像以上の、否、想像を遥かに上回り過ぎた返答だったからだ。

「親戚には政府から直々に話を済ませておく。これは決定事項だ、君に拒否権は無い。____ああ、当面の生活資金は政府から支給するから、安心したまえ」

………。

しばらく、室内には静寂が漂った。
そして俺は、息を吸い込んで、大きく吐く。

「_____全ｯｯ然安心出来ねぇ…！！！」

何で、俺が、こんな目に。

疑問と焦燥が入り交じった脳内で、自分の個性を、心の底から憎んだ。