醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ23)

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Story.23 ページ23

ﾍﾟﾝﾍﾟﾝﾍﾟﾝﾍﾟﾝｯ！！

完全に油断しきっていて、完全に意識を失っていた時に突如やってきた地味に痛い衝撃。

「痛ぇ！」と叫びながら伏せていた顔を思い切り上げ、目をパチリと覚ませば目の前にはあの暑苦しいクソヒーローがいた。

「やあ朔亜少年！お昼寝タイムはもう終いだぜ！？何せ今からヒーロー基礎学の時間だからな！！」

HAHAHA！と、清々しい勢いの笑い声に思わず顔をしかめる。あれ、この人もしかして俺のこと覚えてらっしゃらない感じですか。

つーかポケ○ン風に言うならばめざましビンタ？めっちゃ喰らったしそもそも初めて喰らったんだけど。何回頬シバいたよこいつ。

顔を顰めながらクラスメイトの反応を見ると何とも言えない表情をしていた。

ある者は「またこいつか」という顔を、ある者は最早興味が無い、そしてまたある者は___

「……」

あいつは……確か制御出来ない最下位野郎。

緑田だっけ、緑谷だっけ。まあそんなのはどっちでもいいが、そいつが心配そうな、不安そうな表情をしていたのが目に付いた。

それがどういった心境を表しているのか、俺にはさっぱり分からないしそもそも理解しようとしていない。

けれど、何となくそいつの表情にイラついた。
その表情が……何となく、母親と重なったから。

『近寄らないで！！』

『こんな化け物産みたくなかった！！』

あの日の出来事が蘇る。

……それは俺が自分に絶望し、己の個性を心の底から憎んだ日。その記憶の中にいる母親は、涙を流して叫んでいたのを覚えている。

____記憶の中の、母親はいつも悲しみで染まっている。涙を流し、顔を歪め、俺を否定し続ける。

「………チッ」

緑谷の顔を見たくなかった。
クラスメイトの顔を見たくなかった。
そして、オールマイトの顔を見たくなかった。

人の顔を見たくない。

その表情一つ一つが、あの人(母親)を連想させるから。

途端に大人しくなった俺を、オールマイトは疑問に思っていたのか、しばらくその場で固まっていた。

もう何でも良いから、授業しろ。聞く気は無いけど。そんなことを思いながら、机を見つめていた。