醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ20)

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Story.20 ページ20

学校から徒歩5分のとある一軒家。
そこに昨日から住んでいる、朔亜Aこと俺。

何故こんなにも近いところに、と最初は思ったが、曰く「何が起きても雄英の教師陣が素早く対応出来るように」らしい。

一人暮らしにしては随分と豪邸な我が家に、思わず息を零す。

誰もいない広間にカバンを投げ捨て、ソファに寝っ転がった。

少し息苦しい制御装置(チョーカー)に若干の苛立ちを感じながら、明日からどうやって過ごそうか、と思い悩む。

個性の制御は3年かけてゆっくりとやっていくそうで、少し気が遠くなりそうなこの訓練に、思わず舌打ちをした。

3年間もヒーロー名門校に通わないといけないということと、3年間もヒーローと日常やら授業やらを送らないといけないということに、不満を感じているのだ。

何が嫌かって、耳に挟んだ噂の新任教師のことである。

「オールマイト」が、雄英の教師になったらしい。

それを聞いた瞬間、近くにあったベンチを蹴り倒した。八つ当たりなのは重々理解していた。

あのオールマイトが何故雄英に、という疑問もあったし、あのオールマイトのことだからヒーロー科の必需科目である(らしい)、ヒーロー基礎学を担当するのだろうと絶望感を抱いている。

オールマイトは俺を覚えているのだろうか。

単なる偽善の呼び掛けが、あんなに大きな事件を引き起こし、政府の監視対象と化した少年のことを。

ただでさえテレビに移るオールマイトが嫌なのに、実物が目の前で授業なんて耐えれるだろうか、無理だ。無理に決まってる。

「……あー…面倒臭ぇ…」

イラついたら物に当たろう。
いざとなれば、オールマイトに直接殴りにかかろう。

説教コースは確定だろうが、じゃないと俺の正気は保てない気がする。

……ガクン、身体が急に重くなった感覚がした。

ダルいというか、眠いというか。
個性の反動か、制御装置に関係しているのか。

だんだんと下がっていく瞼に抗えず、そのまま俺は一睡してしまった。

____そのまま、嫌だ嫌だと喚いていた翌日が来てしまったのだ。