醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ12)

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Story.12 ページ12

___ちゃんと先生やってて笑えるんだけど。

ニヤニヤしながら相澤の様子を見ていると、静かにこちらの方を睨んできた。

目で訴えられているのが分かる。「馬鹿にするな」と、馬鹿でも分かる。
だが俺は、「言葉にしないと分かりません」という意味を込めて首を竦めた。

一気に相澤の表情が暗くなったのが見える。
分かりやすすぎかよ、お前。

……そんなことをしている間に、どうやらグラウンドに出ろという指示がされていたらしく、周りの生徒は不満を顔に出しながら教室から出て行く。

そんなに不満なら無視すれば良いのに、逆らえば良いのに、と思ってしまう俺はきっと社会の常識からして並外れた思考を持っているのだろう。

そうして、俺と相澤以外の生徒は全員出て行った。

誰もいなくなった教室は静寂に包まれ、随分と重圧を感じる。

原因はきっと俺にあって、その重圧を放っているのは相澤だ。よほど先程の態度が気に入らなかったのか、さっきから鋭い視線が刺さってくる。

「何？さっさとグラウンド出ろって？」

何故怒っているのか理解しているのに、わざとらしく相澤にそう聞いた。

それはただの悪戯心からきたからかいだ。
自己満足で、これから俺は説教を食らうだろう。

だが、相澤は怒る気配はなく、「まあいい。とりあえずお前は体操服は下だけ着ろ。上は支給されたあのパーカーと学校指定のシャツ。マスクは外すなよ」と、妙に細かい指示をしてきた。

「は？」
思わず面食らって、聞き返す。
だが、相澤は「2度も言わせるな1度で把握しろ。面倒臭い」と冷たく言い放つ。

いや話の内容は聞いていたが、怒らないのか。

「お前に怒っても意味が無い。そういう性格をしているんだから」

俺がそんな表情をしているのが分かっていたのか、相澤はそう告げた。

そういう性格って、どういう性格だよ。
そんな意味も込めて相澤の方を見る。

「お前は…あくまで俺の推測だが、きっと普通の子供で、子供らしく馬鹿ばっかりやる奴だ。さっきからそれを匂わす行動しかしていない」

「ごめん何言ってるか全然分かんねぇ」

「要は」

”明るくてひょうひょうとした奴ってことだ”

その後に、早くしろと。
それだけ告げて、相澤は教室の電気を消して、出て行った。

……明るい性格とは、一体どういう奴のことを示すのか。

友人関係も、人間関係も上手く築きあげられなかった俺からすれば、「性格」なんて未知の言葉だ。

……とりあえず、歩き始めよう。