醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ2)

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Story.2 ページ2

簡単に言えば、面倒臭い事になった。
路地裏での喧嘩を誰かに見られていたらしい。

当たり前のように個性を使って喧嘩をしていた所為か、敵(ヴィラン)と間違われ、警察を通り越してヒーローが呼ばれたようだ。

____よりにもよって”NO.1ヒーロー”が。

……その怪力はいとも簡単に、俺の拳を受け止め、いとも簡単に、俺の戦意を喪失させた。

ニコニコと笑みを浮かべて、俺を見下ろすNO.1ヒーローは、自分からしてみれば嫌悪感しか湧かない。

気持ち悪いし、腹が立つ。
そして周りの奴らの歓声にも、吐き気がする。

「無駄な抵抗は辞めた方が良い。その様子は……どうやらワケありみたいだね？」

「……チッ」

そいつが、オールマイトが、手を緩めた瞬間に俺は勢いよくその腕を振り払う。

ビキビキと、腕に浮かぶ黒い模様は音を立てながら範囲を広げ、俺の身体を蝕んでいく。

それを見たオールマイトは、「君の個性は一体…」と呟いた。

「お前には関係ねぇだろ、NO.1ヒーロー。……残念ながら俺は一般人だ。
分かるか、今俺は子供らしく(・・・・・)喧嘩をしてんだよ。」

そう俺が喋ると、「なるほど」とオールマイトは頷く。

何だその反応。
俺の発言なんぞ微塵も信じませんってか。

勝手に解釈し、殴る理由を作った俺はオールマイトに殴り掛かる。

_____ﾄﾞｫｫｫﾝｯｯ！！！！

辺りに轟音が鳴り響く。

オールマイトと俺の周りは風圧で勢いがつけられ、そこら辺にあったゴミ箱やゴミ袋は塵のように吹き飛んだ。

俺の拳を、オールマイトは受け止めた。
溜めに溜めた、渾身の一撃を。

ゾワゾワと、俺の身体を何かが這うような感覚がする。自分の”個性”だと、瞬時に悟った。

この”個性”に名称は無い。
ただそれは、俺の身体を黒く蝕み、化け物じみた破壊力を生み出す。

ああ、その化け物じみた力を受け止めたオールマイトは…その上を行く化け物だったようだ。

「特別に今回は見逃そう。だから少年。自分の個性で他人を傷付けてはいけない」

悲しそうに告げるヒーロー。

思わず言葉に詰まる。
……このヒーローは何も分かっちゃいないのだと、内心で思いながら。

このヒーローはわかっているフリ(・・)をしているだけだ。

だから平気で助けられなかった人間をいなかったかのように笑えるのだと。

_____なあ、ヒーロー。
俺の個性は他人を救うことはおろか、傷付けることしか出来ないんだよ。

次の瞬間、俺の意識は無くなっていた。