醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ17)

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Story.17 ページ17

緑谷の2級目は、ようやく「ヒーローらしい」記録が出た。

だが、あいつの人差し指は紫色に腫れ上がっており、まるでそれは個性の制御が出来ていないようにも見えた。

「やっとヒーローらしい記録出したよー！」

「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい…おかしな個性だ……」

「スマートじゃないよね」

と、3人の生徒が各々で緑谷に対する感想を述べる。

眼鏡の野郎は入試の時に緑谷の個性を1度見ていたらしく、あいつの個性が何かしら身体に負担がかかってしまうようなものであると分かった。

……で、だ。

「……！！！」

隣で馬鹿みたいにでっかい口開いてアホ面晒しているこの爆発野郎は一体どうしたものか。

そういえば、無個性だうんぬんかんぬん言っていたな。

この反応を見る限り先程の発言は本当にそう信じ込んでいたようで、何だか哀れにも思える。

この様子じゃ、あいつ(緑谷)のことを下に見ていたんだろうな。
今まで自分より雑魚だと思ってた奴がいきなり同じ土俵に立っていたら、そりゃ困惑するわ。

「どーいうことだこら！！ワケを言えデクてめぇ！！」

焦燥からか、爆発野郎は緑谷の所まで個性を使って突っ込んでいった。

突っ込んで何をするんだろうか、殴るのか。
多分俺もあいつの立場なら……そうしていたのだろうか。

きっとあの二人は幼馴染という関係なんだろうが、生憎俺に幼馴染なんて存在はないから理解しようがない。そもそも友人もいないし。

「うわああ！！！」と、緑谷は叫んではいるがそこから一歩も足を動かそうとしていない。動けや。

だが、次の瞬間爆発野郎の身体には見覚えのある捕縛武器が絡みつく。

「んぐぇ！！」

変な鳴き声(？)を発して爆発野郎の動きは止まった。まあ、俺でも抜け出せなかったし、そもそも個性を封じ込められていちゃ何も抵抗しようがない。

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ「捕縛武器」だ。……ったく、何度も個性使わすなよ…。___俺はドライアイなんだ」

最後ので一気に台無しだ。
周りの奴らの表情からして「個性すごいのに勿体ない」とでも思っているのだろう。

……ドライアイの隙を狙えばワンチャンやり返しも可能な気がする。よし。

そんなことを考えていると、相澤は時間が勿体ないから早くしろと急かした。

つくづく考えるのは、そんな急いで何になるんだという疑問である。