33話 ページ5
いづみ｢じゃ、じゃあ、左京さんの部屋は…丁度掃除した倉庫の正面だから！｣
『…おっけーです。』
(…あの反応は完全やったわ。)
結局最後まで目が合うことはなかった。トホホ、と肩を落とす。
原因は言わずもがな。
アレにはどうしても触れてほしくない理由があった。とは言え、あそこまで怯えた目をされるとは…罪悪感で死にそうﾃﾞｽ。
『いっそのことあたしを殺せぇ！！(ﾊﾞﾝｯ』
左京｢お望みどおりにしてやろうか｣
『ﾊｯﾊｰアンタが言うとガチにしか聞こえねー』
左京｢ったく、やっと来たと思ったら開口一番なんなんだ…
扉は静かに開けろ｣
あたしは学んだんだ。ここで『オカンやん』と言ったら殴られると言うことを。だから黙ってるよ。
でも｢何ドヤ顔してんだ｣って結局殴られたよ。解せぬ。
『で、話ってなんなんすか』
左京｢…実は、弘樹から電話があった。｣
『は？アイツあたしの連絡は既読無視したクセに左京くんに電話したの？まじクソなんだけど。
あのアホ兄次会ったら絶対
左京｢その時に、｣
ｳｨｯｽ』
左京｢『Aと居ると大変』と言われた｣
『(白目)』
一歩、左京くんが前に出る。
左京｢もし、お前がウチのカンパニーにとって危険になり得るのなら＿＿｣
左京｢今すぐ出ていけ｣
無表情。きっとその目にはあたしが“得体の知れないヤツ”に写ってるんだろう。
無理もない。兄とは知り合いだったって言っても、あたしと会うのは初対面だし。
“得体の知れない”って、“わからない”って、恐い。
『＿＿まぁ、否定はしません。』
左京｢………｣
『でも、何があるかわからない、何者かわからないような。』
『そんな“得体の知れないヤツ”が集まってんのが、“MANKAIカンパニー”なんじゃないんですか？』
わからないは、恐い。
けど、それと同時に凄く、興味をそそられるモンなんだぜ？
『あ、勿論あたしはこのカンパニーに危害を加える気はまっったくないっスからね？』
左京｢ﾊｧ…合格だ｣
溜息混じりに告げられて、ようやく歓迎されたなって気になった。
でもしっかり釘を刺すことは忘れない。ドアノブに手をかけたところでまた呼び止められた。
左京｢何かあったら、すぐに言えよ｣
『わかってますってー』
『それじゃ、おやすみなさーい』
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作者名：野次 | 作成日時：2018年8月12日 18時
