始まりをなぞらえて ページ1
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「どうも。チェックインをしたくて。」
「お部屋のご準備は出来ております。カードキーがこちらでして、」
「お部屋まで案内してくださならないの？」
「…致しますよ。」
後ろをチラリと見やるA。
やがて誰も手が空いている人間がいないと悟ったのか、彼女は小さく瞠目してフロントから出てきた。
耳元の骨伝導イヤホンをオンにして
「フロントお願いします。」
って小声で囁いてる。
「……お待たせ致しました。三枝様のお名前でお取りしております。」
「ええ。」
ドレスみたいな、真っ赤な小雪さんのワンピース。
肩にかけられたモコモコのショールがドレッシーで、Aの黒いスーツが映える。
「何だか最初を思い出すわね。」
3人しか居ないエレベーターの中、優しく香るAの匂いを久しぶりに感じていると小雪さんが口を開いた。
まるで忘年会みたいに、心底楽しそうに。
「……最初、ですか。」
エレベーターが上昇する。
「ええ。あなたとの始まりも、辰哉との3人のエレベーターだったじゃない？」
「そうでしたかね。」
素っ気ないA。
それ、接客業でやっちゃダメでしょ、ってくらい氷の温度の声音だけど、顔を見ればなだらかに笑っているものだからチグハグで混乱する。
「…私はよく覚えてるわ。」
「左様でございますか。」
「貴方が、辰哉にちょっかいを掛けた始まりの日。」
ピクリと、Aの肩が僅かに動く。
横顔とも言えない、微かに見えるAの睫毛がフルリと揺れた。
「……滅相もございません。」
「小雪さん。何言ってんの？」
「実際、辰哉は手の中に戻ってきたし。それにあなたも解放されて良かったでしょう。自分のものにならない恋愛は苦しいものね？そうやってグレードダウンして、」
「お言葉ですが。」
ヒートアップした小雪さん。
そろそろやめよう、って止める前に、彼女が振り返った。
酷く、意思のある瞳だった。
その顔つきを見た瞬間、ああ、って。
何か、別れた道が正解だったんだな、って思い知らされる。
……だって、別れる前のAの酷い顔色、覚えてるから。
泣きそうになりながら、涙を見せずにタバコを吸っていたあの日の夜は忘れたくても忘れられない。
…いや、忘れちゃいけないんだけど。
そうしてAは、強い瞳で小雪さんに。
「…先程から、誰の事を仰ってますか？」
って。
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ayaka(プロフ) - necoさんお久しぶりです。お元気されてますでしょうか？necoさんのよきタイミングでまた更新されることを楽しみに願ってます！それまでに何回も読み返します！！Twitterも突然消えてしまい勝手ながら心配もしておりました。お元気で過ごされることを願ってます。 (5月1日 1時) (
レス) id: d413d8c2c2 (このIDを非表示/違反報告)
knn0522(プロフ) - necoさんお久しぶりです、お元気ですか？素敵なお話いつもありがとうございます。大好きなnecoさんのお話をまた見れること楽しみにしています！！necoさんもnecoさんのお話も大好きです♡♡♡ (4月10日 23時) (レス) id: 99ff5c5b2a (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - necoさんお元気ですか？Twitter消されてしまったのでしょうか？更新楽しみにしております！ (4月1日 1時) (レス) id: da3147202e (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - necoさんお元気ですか...？体調いかがお過ごしでしょうか。また更新待ってます！楽しみです！ (3月28日 17時) (レス) id: 936cda87a6 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - necoさんお元気ですか？更新楽しみにしています(..) (3月15日 23時) (レス) id: d95b7f4774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：neco
| 作成日時：2024年2月20日 18時
