最後の夜 ページ45
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「辰哉くん、」
やめて。
そんな声で俺を呼ばないで。
「ほら、去年はプレゼントに黒のマフラーくれたじゃん？その1週間後ぐらいにさなまえが同じブランドの白のマフラー付けてきて、」
「ねえ、」
言わないで。
「おそろいにしたの？って聞いても何も答えずに真っ赤にしてるから俺、」
「辰哉くん……！」
悲痛な声。
ハッとしてAの顔を覗き込めば、俺なんかよりも数百倍辛そうな顔をしてる。
…何で俺たち、付き合ってるんだったっけ。
俺が、小雪さんを忘れる為？
ふと、床に転がってる俺のバッグが目に入った。
「今年のクリスマスプレゼント、なんだと思う？」
「…なんだろう、」
うんといいものなんだよ。
…あのね、康二が指輪でも贈れば？って言うからさ。
いや、康二に言われたからそうした訳じゃなくて、
妙にそれがしっくり来たって言うか。
この指輪を見た時も、Aにピッタリだと思ったんだよ。
「当てて。」
「……辰哉くん、」
「……。」
結婚しよう、って。
俺、今なら言えるよ。
Aとしか人生を共にしたくないよ。
それぐらい、俺の中でAの存在って大きいの、多分Aは気づいてないよね。
でもね、俺最低なの。
小雪さんの事も、思い出したら苦しいんだよ。
あの人が悲しんでたとしたら、多分助けに行っちゃう。
こんな俺、Aに相応しくないね
「…私たち、一緒になっちゃダメだったね。」
…やめてよ。
なんでそんなこと言うの
当てつけ？
……だったら、どれだけ良かったか
澄んだ瞳の奥に映るのは、嫉妬なんかじゃない
紛れもない本心だ
「私、好きってだけでどうにかなると思ってた。」
A。
彼女の顔を、目に焼きつける
…好きだよ。
Aのこと、凄く好きなの
どうしたら伝わったかな
「辰哉くん。別れよっか。」
その一言は、焼けるように苦しくて、熱くて、
「…A、」
だけど多分、
この一言しか無いって、分かってた。
「A」
「…なあに？｣
「最後にさ、」
最後。
身が焼け付くような言葉。
「…最後に、抱き締めてもいい？」
こくりと彼女が頷いた。
あと数時間でクリスマス。
きっと、彼女のために買った指輪はお蔵入り。
これからどうなるかなんて、もう考える事もしなかった。
そっとAを刻みつけるように、
彼女にも俺の印を残すように、
2人でベッドに沈みこんだ。
最後の夜だった。
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ayaka(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。前作からnecoさんの作品が大好きで、日々の活力になってます！数時間おきに更新されてるか確認してしまうくらい生活の1部になってます🥹大変かとは思いますが、最後まで楽しみにしてます！！ (2月9日 23時) (
レス) id: d413d8c2c2 (このIDを非表示/違反報告)
ガリリョ(プロフ) - 辰哉君とは幸せになれないんだね😭😭😭 (2月9日 12時) (レス) id: c4caf972cd (このIDを非表示/違反報告)
neco(プロフ) - まーさん» 2度目のコメント、嬉しい限りでございます( ; ; )🩵 お互い大事にしているのに、きっと愛し方が違ったからこその相互が生まれてしまって、両方引くに引けないところまで来ていて…。小雪さんが好きで、でも主ちゃんも大事、なんていう絶妙なバランスです…。 (2月8日 11時) (レス) @page39 id: fcbd2b4e2b (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 2度目のコメントすみません😭涙が出てきました...深さんの主ちゃんへの気持ちめちゃくちゃ伝わります...😭お互い大事に思っているのに、何故こんなことにってめちゃくちゃ悲しいです😭ほんと、報われて欲しい😭😭 (2月7日 17時) (レス) @page37 id: 936cda87a6 (このIDを非表示/違反報告)
neco(プロフ) - korokoroさん» korokoro様、いつもありがとうございます、お久しぶりです！( ; ; )korokoroさんの知りたかった所がどこなのかを知りたくてウズウズしちゃいます（笑）個人的に、康二→主ちゃんの矢印を『最後』には深澤さんが知っていた、というのがミソです（言っちゃう） (2月6日 21時) (レス) id: fcbd2b4e2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：neco
| 作成日時：2024年1月25日 22時
