インビジブル・ラブ 9 side T

おいで ページ23

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ただいま。
リビングを開けて、Aが入ってくる。

顔色とか声音とか、要注意。
…ダメだわ、全然わかんない。




「明日オフだよ俺。」



「嘘、ほんと？」



「うん。久しぶりにねー、マネージャーがくれた。笑」




Aの、可愛いキャラクターのヘアクリップで前髪を止める。
なんて言ってたっけ？
キャラクターの名前は忘れたけど、目がでかくて青いヤツ。
半分魚みたいな。




「A」




振り向いたA。
おもむろに俺のメガネを自分にかけてケラケラ笑ってる。
かなり度が強いやつだから目が小さくなる筈なのに、
かけても相変わらず美人で悔しい。
俺なんか妖怪とか化け物とか怪物って呼ばれてるのに、
なんなの？この差は。




「…俺、ブサイクに見える？」

「うん。見えるよ。笑」




可愛いイタズラっ子。






「はー、ほんっと。……おいで。」





自分の膝を叩いてAを呼ぶと、意地悪な笑顔で首を傾げられた。
渋々、っていうテイでここまでやってきたA。
ちょっとだけキスを落とすと、
トロン、ってなるこの目が好きで。




「…っ、これ以上は…｣




肩を押して俺を拒む、
思ってもいないその仕草が可愛くて好き。
クセになりそう。
だから最近はいつも、わざと強引にキスをしたりする。

真っ赤になったほっぺたを指でつつくと、
案外嫌そうな顔をされないから図に乗って首筋にもキスを落とした。
ん、って。
扇情的な声が聞こえて、ピクリと自分の中の下心が首をもたげる。




「…手加減、しないよ？」




何を今更。
そういうように、Aが唇の端っこだけを上げて笑った。

…確かに、「何を今更」だわ。
俺は最近、無性にAを壊したくなる。
滅茶苦茶にして、自分の傍に縛り付けておきたくなる。

だってAは、俺の精神安定剤だから。


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