【赤と黒と始まり】Side 白雪 ページ6
夕陽が店の窓から差し込み、埃がきらきらと光るように舞う。それを目を細めて見た白雪は自身以外誰も居なくなった空間を見渡すと、今日は終わりだと店仕舞いを始めた時だった。
「白雪ねーちゃん!」
慌ててドアを開けたのは先程まで母親と一緒に店にいた小さな少年だった。それ故にカウンターの元まで来た少年を覗き込むような体制になるので、カウンターの中から出て少年の近くに行く。
「どうしたの?」
「何か噴水広場の所で人がぐったりしてるんだ!朝から居るらしいんだけど、全く動かないみたいで」
「分かった。それじゃあ、そこに案内してもらっていい?」
「うん!こっちだよ!」
少年はその人を心配しているのか、それとも一種の好奇心からなのか、強く白雪の手を引っ張り、早く行こうと急かす。
(あ、いけない)
躓きそうになりながらも少年に連れて行かれる前に店の明かりを消して、木製のドアをギッ、と引いた。
「ここだよ!」
比較的近くにあるため、さほど時間を掛けずに着いた噴水広場の中央で、噴水の端に腰を掛け、顔も含み、全身を黒いローブで覆った人が確かに居た。
「こら、どこいってたの!」
「あ、母ちゃん。どこって白雪ねーちゃん呼びにいってただけだよ。」
「ああ、ってそれでも何も言わずに一人で行くのはやめなさい!」
母親にそう言って拳骨を少年が痛みに悶えているのをよそに、白雪は早速その人物のいる中央の方へ足を向けた。
(黒いなあ)
黒いローブだから仕方ないのだろうが、よく見ると着用したブーツも黒、時折風が撫でて現れたローブの中の髪さえも真っ黒だ。
(まず、生死の状態すら分からないな。)
そう思い、隠れた首筋に手を伸ばそうとすると、逆に白雪が手を握られた。
「ひっ?!」
『……ん、なんだよ、いきなり急所狙ってくるなんて。』
(しゃ、喋った…)
寝起きのぼやけた物言いとは別に、白雪を掴んだ手は力強い。それが警戒されているのだと分かって、誤解を解くことにした。
「いきなりすみません、朝からぐったりしたままここにいらっるようだったので、診察させて貰おうかと。」
『あ、そうか俺…寝たんだよな…。すみません、疑って。でも、ただの睡眠不足なので大丈夫です。』
ほら、この通りと丁寧な話し方になったその人は白雪から手を離す。確かに強く握れるだけの力があるならどうってことないのかもしれない、意識にも特に以上はないようだ。
「それでは…」
ぐきゅるるるるる
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りなーる(プロフ) - 更新待ってましたぁぁ!ありがとうございます!また楽しみにしてます! (5月29日 23時) (レス) @page39 id: fcaf0d8ff7 (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - ゼン落ち探してたのでとても嬉しい作品です!更新とても楽しみにします!頑張って下さい! (2018年9月4日 0時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
漫画大好き少女(プロフ) - 私も思ってました!流石にオビオチが多すぎてゼン落ち探してましたよ〜w (2018年2月21日 19時) (レス) id: 412f05bc98 (このIDを非表示/違反報告)
はいざそう(プロフ) - コメントありがとうございます!ですよね、ゼン落ち少ないです…これを機に!とは言いませんが、ゼン落ち増えてくれたらなあと思ってます。見てくださる皆さんの為に頑張りたいと思います、励みになりました!ありがとうございます。 (2017年12月26日 23時) (レス) id: 3f8fc48687 (このIDを非表示/違反報告)
(。ゝωσ)シャラッ☆(プロフ) - はじめまして!ゼン落ちが少ないっていう話私も同意見です!! 書こうかなと思っていたんですけど書くネタがなくて更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年12月26日 20時) (レス) id: 0de7fe527f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はいざそう | 作成日時:2017年11月25日 18時