検索窓
今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:45,546 hit

【タンバルンからの届け物】Side 白雪 ページ15

「赤ってのは、運命の色のことを言うんだろ」

白雪はその言葉にまず驚くと、改めてゼンを見返した。

「今は厄介なだけでも、案外いいものにつながってるかもしれないぞ」

(そんな、考え方もあるんだ)

「す…すごい考え方するんだね…」
「おや?尊敬?」
不敵に笑ってみせたゼンの顔が、何故か白雪の不安をとっぱらってしまったような気がした。


「……白雪はやっぱり怪しい人じゃあなさそうだな木々?」
「それどころかゼンは相当気に入ってるね」
「捕まっちゃって災難かなー白雪の方は」

木の上で我が主たちを見つめる側近たちは全員密かに良い足音を感じていた。

『…俺、後でゼンに怒られるかな』
「王城に帰ったら確実じゃないの」
『おいおい、冗談でも肯定するなよ、木々』
「冗談じゃないんだけど?」
『……俺、先に小屋に戻ってます。』



「ーつまりこれの送り主は家を空けて遠出をしている白雪の身を案じて、タンバル国境手前の街まで迎えに来ている、と…」

真っ赤な林檎の詰まった籠に添えられたメッセージカードをゼンが目を通し意訳した。

「…随分と執念深い紳士のようだな?」

小屋に戻った白雪たちは、まず険しい顔をしたAから籠を受け取った。曰く、タンバルンからの届けものだったらしい。
籠には白雪が髪を切った時に結んでいたリボン、中身は林檎だった。

「うまいこと言うね」
そう、笑って見せればゼンから睨まれてしまった。

「何を笑っている!?国境越えて逃げるくらいの大事だったのか!?」
「…相手が相手だったんで…」
「A!!」

ゼンの後ろで控えていたAは口を静かに開いた。

『…タンバルン王国の第一王子だ。』
「!ラジとかいうバカ王子か!」
ゼンは立ち上がると重い籠が浮く程に机を叩いた。
「さすが…隣国にまでも…」
座りなおしたゼンはとりあえずAの包帯を巻いてない方の腕を軽く叩くと眉を釣り上げた。
「お前…何で言わなかった」
『…白雪が言いたくなさそうだったしな。ここに連れて来たのは、逃げ回っても無駄って分かっていたが俺一人じゃどうしようもないと思ってゼンたちを頼った。』
始終申し訳なさそうに話すAにゼンは小さく馬鹿、とだけ呟いた。

【訪問者】Side 白雪→←【過ごす時間】Side 白雪



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
99人がお気に入り
設定タグ:赤髪の白雪姫 , ゼン , 男装   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りなーる(プロフ) - 更新待ってましたぁぁ!ありがとうございます!また楽しみにしてます! (5月29日 23時) (レス) @page39 id: fcaf0d8ff7 (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - ゼン落ち探してたのでとても嬉しい作品です!更新とても楽しみにします!頑張って下さい! (2018年9月4日 0時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
漫画大好き少女(プロフ) - 私も思ってました!流石にオビオチが多すぎてゼン落ち探してましたよ〜w (2018年2月21日 19時) (レス) id: 412f05bc98 (このIDを非表示/違反報告)
はいざそう(プロフ) - コメントありがとうございます!ですよね、ゼン落ち少ないです…これを機に!とは言いませんが、ゼン落ち増えてくれたらなあと思ってます。見てくださる皆さんの為に頑張りたいと思います、励みになりました!ありがとうございます。 (2017年12月26日 23時) (レス) id: 3f8fc48687 (このIDを非表示/違反報告)
(。ゝωσ)シャラッ☆(プロフ) - はじめまして!ゼン落ちが少ないっていう話私も同意見です!! 書こうかなと思っていたんですけど書くネタがなくて更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年12月26日 20時) (レス) id: 0de7fe527f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はいざそう | 作成日時:2017年11月25日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。