授業7 ページ7
by潔世一
俺の足元にはボール。
俺の目の前には馬狼。
俺の左側にはフリーの雷市
。
俺の右側には敵チームがマークしている國神。
挑戦しなきゃ。ストライカーになるために。
ビビるな、ストライカーになるんだろ!!
トンッ
「ナイスパス、潔」
俺は、國神にパスを出した。
−−−−−
−−−
−
「やあやあ、お疲れ様!ボロ負けだったね〜、あの試合」
「監督生…さん……」
敬語を外している監督生さんはニコニコと笑っている。
が、その笑顔はどこか違和感があった。
「いや〜、あの試合での君らの欠点は実に明確だ。小学6年生が1+1をするよりも簡単な答えだよ」
そう煽りながら俺の背中をバシバシ叩く。
痛い、絶対背中に赤い跡が付いてるやつ……。
「その答え、潔くんはもう出てるだろう?」
「0という状態をを1に変える…それがこの試合で試されること……そうだろ?」
「………なにをいっているんだい、君は」
ポカンとした表情で俺を見つめている。
あれ、違った?
「君たちがあのときに真っ先にしなければいけない行動…それは群れのリーダーを作ることなんだよ」
「っああ"?どこのチームが群れだって?」
雷市は監督生さんの胸ぐらをつかむ。
しかし、その状況でも取り乱すことなく監督生さんは笑っていた。
「実際そうだったじゃないか。
ボールという獲物に寄って集っての自分主義の試合…いや、あれを試合というのもどうかと思うが……。
まるで一つの餌に群がる汚い肉食動物のようだ。それを群れと言わずになんていうんだい?」
雷市は舌打ちをし、監督生を離す。
「なんとでも文句を言えばいいし、私に暴力をふるっても構わないよ。負け犬の遠吠えなんてどうだっていいし。それに……
そんなことをしたって君たちがこの試合に負けたことに変わりはないのだから」
監督生さんは俺たちを見つめる。
ドロドロとした目でじっと見つめられて、俺はそのドロドロで包み込まれたような感覚に陥りそうになる。
「次の試合もそんな滑稽な試合にする?
私は別にいいんだよ、それでも。その様子を見るのも楽しいからね。まあ、……」
"君たちがみんなの笑いものにされたいのなら、の話だけどね"
あぁ、わかった。
さっき監督生さんの笑顔を見たときの違和感の正体を。
あの笑みは、確かに綺麗で美しい笑みだった。
でも、悪役のような笑みだったのだ。
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あ - 面白かったです!!これからも更新頑張ってください!! (7月27日 17時) (レス) @page36 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年2月26日 17時