授業3 ページ3
by潔世一
吉良くんを脱落させた。
俺が…。俺のこの足で、吉良くんのこれからのサッカー人生を奪った。
酷いことをしているはずなのに…本来なら胸が痛むはずなのに…。
まるで、ゴールを決めれたときのような胸の高鳴りが止まらなくて。
俺はただ、絵心さんに反論している吉良くんを見つめていた。
そのとき、部屋のドアが開いた。
そのドアを開いたのは黒髪の可愛らしい女の子。
その子はこの部屋にいる人を一人一人見つめるとニパッと明るい笑みを見せる。
「こんにちは!私、ここの特別マネージャーをすることになりました!!監督生、とお呼びください」
突然のことに誰もどう反応したらわからなくなった。
女の子…監督生さんはそれに気づいているのかいないのか…喋り続けながら吉良に近づいてくる。
「なぜ私がここに来たかと言いますと、同じ学校の生徒がいる棟から担当していき、どんどんマネージャーと言う仕事に慣れされるという絵心兄ちゃんの考えに従っているからです。
あ、ちなみに絵心兄ちゃんは私の親戚。昔からの知り合いです。
そして、私と同じ学校に通っているというのは…」
吉良の前で監督生さんは足を止める。
「…とりあえず、この稚魚を追い出そうか」
え、今なんて言った?吉良くんのこと、稚魚って……。
「稚魚?だ…だれが…稚魚だって?」
「お前のことだよ、吉良涼介。それが理解できないとこが稚魚なんだよ」
バーカ、と言って無邪気に笑う監督生さんはどこから見ても可愛らしい女の子だった。
「ん〜、絵心兄ちゃん風に言うならロックオフ、だっけ?
ほら、早く動きなよ稚魚。それとも女子に引きずられながら退出するか?私はそれでも構わないケド?」
自身の顎に人差し指を当て首を傾げる監督生さん。
「お前…」
「ほらほら、早く行きなよ稚魚」
ゲシゲシと吉良くんを蹴り、ニコニコと笑っている監督生さんを見て、俺は正直言ってドン引きした。
そして、吉良くんが退出したのを確認すると監督生さんはこっち向き、俺に近づく。
「さて、話を戻します。えーと、何だったっけ?あ、そうそう!
私と同じ学校に通っているというのは…」
俺の前に立ち、目を合わせる。
「君ですよ、潔世一くん」
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あ - 面白かったです!!これからも更新頑張ってください!! (7月27日 17時) (レス) @page36 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年2月26日 17時