淡く溺れて。2

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「え…剛典…？」




焦ってるのが顔からわかる

でもAが泣いてたのは部屋の中に照らされる小さなライトですぐにわかった









剛「っなんで…こうなったのか分からないですけど…」






なんでAが臣さんの家にいるのか

なんでAが泣いてるのか

何も知らない








剛「Aは…っ…直人さんが好きなんです」







Aの意思なんかじゃない

根拠もないけどなんでかそう思った









剛「Aが好きなら…こんなことして…泣かせたりしないでください…！」









臣さん、Aの事好きなのか？

あの日楽屋を出た後に掠った匂い

どうしても、気になってた








あの日ももしかして、こんなことしてたんだろうか









剛「俺だって…苦しいのに…」









" 好き、この気持ちが私の中にあるのは嘘じゃない "





そう言われたのに、叶わなかった2回目の俺の恋




" 直人さんを裏切れない "


そう言ったAは力強くて、嘘なんかじゃないって。





" 振られた "



そう言ったボロボロで、崩れそうなAを見て、簡単に手なんか出せなかった



俺の家で介抱してから、一ヶ月会ってなかったけど、きっとAは、まだ直人さんのことが好き









" 剛典…ごめんね… "

そう寝言で呟いたあの夜






俺のことが嫌いじゃないってのは分かった

けど、俺は直人さん以上の存在にはもうなれないんだ







俺の服を貸して、ドライヤーで髪を乾かして

過去に戻った気がして逆に胸が痛んだ









剛「そんなことしても！Aの気持ちは分かったりしないですから！！」







好きな子のフォローして、俺何してんだろ

Aは直人さんが好きだから、こんなことしないでくださいって

なんで俺が言ってんだろ






なんで…俺、泣いてんだろ

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