淡く溺れて。2

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この感じ、懐かしい



このテーブルで向き合ってご飯を食べる







同棲してたのはAの部屋でだけど、一度だけ俺の家でこうして食べた時があった







同棲する前に住んでた俺の家


一応売らないでおいて、物置として残しておいてた


結局、ここに戻ってくることになったわけだけど









初主演を飾ったあの映画での経験を生かす時が来た

「普通に美味しい」って言ったAに一言多いだろ！って思ったけど






それさえ許してしまうのは

やっぱりまだ、愛しいって思ってしまってるからなのか









食事中に直人さんの話は、しなかった

これは俺なりの精一杯の気遣い






したのは
俺たちの主演映画の完成披露試写会どんな風にする、とか仕事の話





ふとリビングの端に目をやると、あんなに大雑把に置いてた洗濯物が綺麗に畳まれてるのがわかった







剛「畳んでくれてたんだ」

「気になったから、気に障ってたらごめん」

剛「全然、むしろ有難い」









一緒に住んでた頃もああやって管理してくれてたよな、なんて懐かしんでしまう

こう思うのは、ルール違反かな









過去の話にはまだ触れてない

それはまだしないほうがいいってことを、お互いわかってるから









「 ________________ 変わんないね」







そう思ってたのに、Aの口からはそんな言葉が出てきた


" この家 " って付け足して、


俺が変わったのはプラスに捉えられてるんだろうか

そう、考えてしまう









下心があるわけじゃない

かといって " 同情 " もまた違う








じゃあ、これはなんでだろう？









それにしても…なんでかわからない



あんなに直人さん、Aのことを想ってたのに



なんか…引っかかる








「ごちそうさまでした」




美味しかった、そう言って笑いかけた顔を見て

あの頃と重なる







元々、Aの笑顔をなくしたのは自分だったから

本当はもっと、笑う女の子だったのに









でもまた、こうして笑ってくれてるのは

俺に心を許してくれてるから？

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