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本格的に涙が出てきた。あぁ、まだ、生きたい、とか。かっこ悪い。
俺は、彼女を引き寄せ、口付けた。ムードもクソもないが、せめてものかっこつけ。
彼女は、可愛らしく頰を染めた。本当に可愛い。
いつの間にか、ドゥートも涙をぽつりと溢していた。
「……笑って」
ドゥートは言葉もわからないはずなのに、何かが伝わったのだろう。年相応に無邪気に笑った。
「さて、そろそろさよならだ。その装置に火を灯してくれ。……そうだ、ドゥート。この杖を持って行け。俺の遺品だ」
そう言ってドゥートに愛用の杖を手渡す。
きっと、お前の役に立つから。お守りみたいなもんだ。
「……行って。ありがとな、幸せだったよ。」
ニカッと歯を見せて笑う。いや、本当に笑えているだろうか。俺にはわからないな。
蝋燭を出す彼女の背中を見る。
装置が起動し、ガラガラと鉄格子が開く。
後ろから、真っ赤な光を浴びる。
全てがスローモーションの様だった。
転生、というものがあるが、今の俺には死が待っている予感がする。
それも、予感でしかないが。きっと光を失くしすぎた。
「……愛してる」
目の前が霞んでいく中、ぽそりと呟いた。きっと届いちゃいないが。
誰よりも、何よりも暖かい手と優しい眼差しを思い浮かべて。
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もからて(プロフ) - 林檎リンネさん» わ〜〜〜!!ありがとうございます!!えっ私も好きです結婚式挙げませんか????(唐突な告白)更新できるよう頑張ります……😭💕 (2021年11月8日 7時) (レス) id: 0305f55f1e (このIDを非表示/違反報告)
林檎リンネ - アッアッ好き…尊い… (2021年11月6日 22時) (レス) @page13 id: 5049f0c2e8 (このIDを非表示/違反報告)
もからて(プロフ) - [アイク・ブルームーン]アイおっとりさん» わわ!!ありがとうございます〜〜!少しずつですが、頑張ります…!! (2021年9月15日 1時) (レス) id: 0305f55f1e (このIDを非表示/違反報告)
[アイク・ブルームーン]アイおっとり(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2021年9月9日 23時) (レス) id: 466201e21a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もからて | 作成日時:2021年8月28日 18時