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暖かい手 ページ9

遠目でしか見れないが、案の定、彼女と子供は神殿の前にいた。立ち止まっていて、どうやら俺を待っていたらしい。




右手があった場所と、左足があった場所から光がどばどば溢れていく。




杖をうまく使い、バランスが取れないままふらふらと進む。




ここ、倒壊した建物があるから、飛んだ方が速いな。




そう思い、右足と杖で地面を押し、ぼろぼろになったケープがばさりと音をたてた。




道中の光の子は回収しよう。エナジーになる。




後ろを横目で見ると、俺が飛んできたところを転々と、溢れた光が道を作っていた。




彼女と子供がこちらに気づいた。目を見開いている。ノーフェイスの雀とかあいつだけだな。




彼女と子供の少し前に降りたとうとした…が、右足と杖だけではうまく着地ができず、倒れてしまった。格好つかねぇな。




彼女が子供の手を引いて、駆け寄る。焦った様子だ。




「そこの装置を起動させたら、暗黒竜が来るだろ。そしたらさすがの俺も、もう光がもたない。最期に言わせてくれ。」




最期とか言わないで、とでも言うように彼女は首を横に振る。そんな、泣きそうな顔しないでくれ。




俺は子供の手を握った。あぁ、暖かい。




思わず、涙、出ちゃったじゃんか。




「きっと伝わらないだろうけど……俺は、お前の父さんだ。これから、俺は、消える。だから、お前の母さんを、守れ。ドゥート。俺の、最初で最期のお願いだ。」




ドゥートの手を離す。




「………あと、俺の嫁さん。こいつの名前、勝手に決めてごめんな。疑って、見極めて、見つけて、幸せに生きてほしいんだ。あとは、よろしく。俺はもう、一歩も動けないから。」




彼女はふるふると首を横に振った。そして、かすれた声で「ド、ゥー……ト」と呟いた。




「はは、無理に声出すな。蝕みが進行しちまうだろ?」




彼女は、ふわりと笑った。目からは涙が溢れている。




すると、ドゥートが、「ドゥート、守、る、ヨ」と、辿々しく呟いた。




「あぁ、頼もしいな!」

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もからて(プロフ) - 林檎リンネさん» わ〜〜〜!!ありがとうございます!!えっ私も好きです結婚式挙げませんか????(唐突な告白)更新できるよう頑張ります……😭💕 (2021年11月8日 7時) (レス) id: 0305f55f1e (このIDを非表示/違反報告)
林檎リンネ - アッアッ好き…尊い… (2021年11月6日 22時) (レス) @page13 id: 5049f0c2e8 (このIDを非表示/違反報告)
もからて(プロフ) - [アイク・ブルームーン]アイおっとりさん» わわ!!ありがとうございます〜〜!少しずつですが、頑張ります…!! (2021年9月15日 1時) (レス) id: 0305f55f1e (このIDを非表示/違反報告)
[アイク・ブルームーン]アイおっとり(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2021年9月9日 23時) (レス) id: 466201e21a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もからて | 作成日時:2021年8月28日 18時

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