夜 ─大事な話─ ページ19
場所は変わってテーマパークを代表する大きなモニュメントの前。
鏡夜が先導し、その後ろをAが歩く。しかしその差はさして開いていない。
A「(鏡夜先輩…僕の歩く速度に合わせてくれてる)」
無意識に顔が綻ぶ。鏡夜のなんとも言えない優しさがすっと心に入るのを感じ、思わず胸のあたりを抑えた。
少し遠くからナイトパレードの音楽が風に乗って流れてくるのを感じる。ふと空を見上げると、都会、しかもこんなに明るい場所だと言うのに星が、月が、輝いているのがはっきりと見える。
A「(鏡夜先輩の夜…、なんて)」
前を歩く背中にバレない程度の視線を送る。
たしかに、彼は裏のキングと呼ばれていたり、腹黒いところであったり、ちょっと怖いところもある。
しかしそれと同時に、同じだけの優しさがあるのだ。
ホスト部内でいえば環が優しさの塊のような印象を持つ。しかし鏡夜だって負けていないとAは思うのだ。
鏡夜「A、足は痛くないか」
A「ふふ、はいっ！大丈夫ですよー！」
ほら、今だって。
肩越しに振り返る優しい目。
大丈夫と答えたあとの柔らかな口元。
変わらず合わせられた歩調。
彼はどれだけAを喜ばせるのだろう。
Aがいくら鈍感だとしても、ここまで来て自分の気持ちが分からないほどではないのだ。
A「(いつかこの気持ちを口に出せる日が来るのかな)」
今は言葉をぐっと飲み込んだ。愛しさが身体中から溢れ出すようだった。口元は、緩んだままだった。
鏡夜「さて、この辺でいいだろう」
鏡夜はそういって、モニュメントを目前に立ち止まる。
近くで見ると最初に見た時より格段に大きく感じる。Aだけでなく鏡夜も上を見上げるほどだ。
A「えっと、ここに連れてきたのは一体…」
移動中なんとなく気が引けて聞けなかったをことを聞いてみる。
すると鏡夜が軽い動作で振り返った。
鏡夜「A、君がこの『桜蘭ホスト部』に所属してからもう随分経った」
A「は、はい」
真面目な口調に思わず返事が固くなる。何か悪いことを言われるのでは…と、そんな予感ばかりが胸中を駆け巡った。
そんなAを見透かしてか、鏡夜はふと表情を和らげる。
鏡夜「…今日は、少し大事な話があるんだ。俺が君に伝えたいことだけど」
柔らかな目元。
その優しい眼差しと視線が絡む。
私は、はい、と言葉を返すことしか出来なかった。
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名無し51934号(プロフ) - 最高すぎます、、、できたらまた、、鏡夜先輩のを(( (2020年9月23日 3時) (
レス) id: ff1ca694a3 (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても面白い素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m思わず1話から最後まで読んでしまいました！これからも素敵なお話をよろしくお願いします！ (2019年11月1日 15時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
樹 - おー、更新されてる!相変わらず面白いですね♪お帰りなさい！待ってました！更新頑張ってください！ (2019年1月5日 14時) (レス) id: 7fba46ff84 (このIDを非表示/違反報告)
ポテトサラダ(プロフ) - にゃおさん» にゃおさんコメントありがとうございます！前文にも記述させて頂きましたが、この作品は絶対に完結させてみせますので、応援よろしくお願いします！！（；；） (2018年12月26日 2時) (レス) id: 9cdb9084ee (このIDを非表示/違反報告)
にゃお(プロフ) - お話拝見させて頂きました!!とても面白くて続きが楽しみです！ (2018年10月23日 21時) (レス) id: 5d7f8ac497 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポテトサラダ | 作成日時：2015年5月17日 21時
