涙 ―笑顔― ページ13
A「え、え…？あの皆さん、これは、」
ようやく事態を飲み込んだのか、Aが小さく声を上げる。
クラッカーを手にし、笑顔でAを見つめる常連客。
そしてホスト部。
それは端から見れば、異様な光景なのかもしれない。
しかし、Aも少し期待してしまう。もしかしたら、これはもしかしたら。
自分を歓迎してくれているのではないかと。
光「Aだってわかってるデショ？」
馨「そうそう、みんなAのために集まってくれたんだから！」
２人がAの肩に両方から手を乗せる。優しく、Aを労るような温かい手に思わず涙の膜が張る。
それをどうにかこらえると、続いて光邦と崇が小走りで駆け寄ってくる。
光邦「Aちゃあぁ〜〜〜〜ん！もう大丈夫なの？？」
崇「…俺も、光邦も、ほかの奴らも、みんな心配していた」
いつもと変わらない笑顔と、いつもより少し柔和な笑みにAも同じように笑みを返す。
穏やかな３人はまるで兄妹のように見えた。
次いで、環とハルヒもAの前に立つ。
その顔は穏やかに晴れ渡っていて、Aは無意識に緊張していた体から力が抜けるのを感じていた。
A「環先輩……、ハルちゃん、あの」
環「A」
A「、はい」
迷惑をかけてごめんなさい、という言葉は環によって遮られる。
びくりと体をすくませたAはおそるおそるといった様子で環を見上げた。
そしてぽかんと呆気にとられたように目を見開く。
なぜって、環がにっこり笑っていたから。
Aは悪くない、何も悪いことなんかしていない、迷惑なんかじゃない、と言われているようで自分勝手な妄想だと首を振る。
しかし、そんなAの気持ちを
環「A。Aは悪くないんだ。迷惑なんかじゃないんだ。おまえはこの部活のメンバーやお客様の前で涙ばかり見せているだろう。もっと笑うんだ。たくさん笑ってくれれば、俺たちはそれでいい。Aが笑っていて、幸せなら」
ハルヒ「環先輩の言うとおりだよ、A。自分と環先輩だけじゃない。光、馨、鏡夜先輩、ハニー先輩、モリ先輩、それにいつも来てくれているお客さん。みんなそう思ってる」
自分がほしかった言葉、望んでいた言葉。
こぼれ落ちそうになる涙を袖口でグシグシとぬぐう。
そして、いつもと変わりない、花がほころぶようなかわいらしい笑顔を見せる。
A「……っ、ただいま、です！！」
全「おかえり(なさい)！A(ちゃん)！」
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 626人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し51934号(プロフ) - 最高すぎます、、、できたらまた、、鏡夜先輩のを(( (2020年9月23日 3時) (
レス) id: ff1ca694a3 (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても面白い素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m思わず1話から最後まで読んでしまいました！これからも素敵なお話をよろしくお願いします！ (2019年11月1日 15時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
樹 - おー、更新されてる!相変わらず面白いですね♪お帰りなさい！待ってました！更新頑張ってください！ (2019年1月5日 14時) (レス) id: 7fba46ff84 (このIDを非表示/違反報告)
ポテトサラダ(プロフ) - にゃおさん» にゃおさんコメントありがとうございます！前文にも記述させて頂きましたが、この作品は絶対に完結させてみせますので、応援よろしくお願いします！！（；；） (2018年12月26日 2時) (レス) id: 9cdb9084ee (このIDを非表示/違反報告)
にゃお(プロフ) - お話拝見させて頂きました!!とても面白くて続きが楽しみです！ (2018年10月23日 21時) (レス) id: 5d7f8ac497 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ポテトサラダ | 作成日時：2015年5月17日 21時
