ヒーローと私。【ヒロアカ】 (ページ3)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:1,618 hit

コーヒーと肩書きページ3

朝目が覚めると、彼の姿はもうそこにはない。

コーヒーを飲んだであろう痕跡と、お風呂場がまだ温かいことを考えるとさっき出たばかりだと思う。

いつもそう。

朝は1人で迎えるもの。

私もコーヒーを入れてそっとソファに座る。

苦い風味と爽やかな酸味が駆け抜けていく。

かっちゃんはいつも突然来て、気付くといない。

寂しいと思う時もあったけど、もう慣れてしまった。

この小さいアパートに彼が足繁く通ってくれる理由は、まだよく分かってない。

だって、私達には何の肩書きもない。

恋人だとか、彼女だとか、愛人だとか。

何の肩書きもない、不安定な関係。

テレビをつけると、朝のワイドショーが流れている。

今期の人気ヒーロー特集、か。

私もヒーローになりたいと思ったことがある。

諦めた道に戻るつもりは無い。

だけど、かっちゃんと同じ立場で対等に生きてみたいと考えないわけじゃない。

そんなことより、現実を見なくちゃ。

連日残業続きでもうそろそろ体がしんどい。

今日こそ定時で帰るんだから。

会社に行く準備、しなきゃ。