鈍感と狙い ページ17
和田「ねえA。」
A「ん？」
声を潜めた和田ちゃんが耳元で囁いてくる。
和田「あんた気付いてる？」
A「何に？」
和田「明らかに狙われてるよ。」
A「えっ！？誰に！？何に！？」
和田「安田部長。」
A「えっ？…ああ、狙われてるって敵のことかと。」
和田「はぁ？この平和ボケしまくってる日常にそんなことあるわけないでしょ」
和田ちゃんはこの間までの避難生活を知らない。
でも私は少し敏感になってしまう。
和田「そんなことより安田部長！あれ明らかにA狙ってるから。」
A「ええ〜？」
和田「何で分かんないかなあ。鈍感すぎるってA。」
A「気のせいじゃないの？」
ホテル生活以来すっかり社食にハマった私は、外でランチするのをやめて食堂に通いつめている。
少し離れた席で黙々と食事する安田部長を盗み見る。
勿論私を狙っている様子なんて無い。
和田「今までそんなに顔出さなかった私達の部署に頻繁に顔出すし」
A「うん」
和田「社食でも常にある程度近くに座るし」
A「うん」
和田「あわよくば話しかけてくるし！」
A「あわよくばって…別に普通のことでしょ。社内の顔見知りだし…」
和田「ねえ本当に気付いてないの？」
A「何に？」
和田「出社する時だろうが社食だろうが仕事中だろうが、隣に私がいてもAにしか話しかけないんだよ？」
言われてみればその通りかも。
思い返すと、隣にいる和田ちゃんの存在はほぼ無視してる気がする。
和田「ちゃーんと狙われてるんだって。A。」
A「そうかなあ。」
和田「…で、どうすんの？」
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作者名：チーズおかき | 作成日時：2020年12月17日 5時
