燻る煙で愛を語らう【東海オンエア】 (ページ16)

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正しい選択ページ16

思い返せば不思議だった。

あの会話がほぼ初めての交流だったのに、私を誘ってくれたこと。

"クラスの友達"と称して増田と、たまたま合流したりょうくんに私を紹介したこと。

自分でも分からない。

なぜ彼についていったのか。

だけど、ただ1つ分かることがあるとすれば、

その時の選択は正しかったということ。

としみつ「若いよな～女子高生」

A「自分も高校生だったのに？」

としみつ「忘れたわそんなもん」

ハンドルを握るとしみつはサングラスで表情が読めない。

としみつ「帽子にサングラスしててもバレるもんだな」

A「そうだね」

帰り道を走る車内には懐かしいメロディが響く。

A「この歌…」

としみつ「めっちゃ懐かしくない？と思って」

私達が高校生の頃に流行ったバンドの楽曲。

窓の外を流れる街並みと相まって、

懐かしいような切ないような、言葉にできない感情になった。

てつや「おかえりー」

としみつ「あれ？ドンキ組は？」

てつや「まだ戻ってきとらんよ」

ふーん、と相槌を打ちながらとしみつが椅子に座って買ってきたカフェラテを口に運ぶ。

唇に触れたストローを通る液体の甘い香りが漂う。

としみつ「うわー…来週のネタ会議どうしよっかなー…」

そんな独り言を言うとしみつが何だかすごく大人びて見えて、

私は思わず目を逸らした。