いつも隣で【男性声優】

“好き”(中村悠一) ページ5

日曜日の昼下がり。
特にすることもないので、私と悠一くんは並んでソファーに座り、録り溜めたアニメを見ていた。

『あーこの子好き、かわいい』

「いいねえ、でも俺はこっちの子かな」

『…胸でしょ』

「うぐっ」

なんてゆるい会話がとても楽しい。
…と、その時。

『ん!きたっ!』

私の最推し、CV中村悠一のキャラが登場した。

『んんんんん〜〜!!(尊い)』

黒幕的な存在なのでなかなか出番がなかったのもあり、私はついテンションがあがってしまう。

すると、隣の彼からこんな質問が。

「…なあ、お前こいつのどこが好きなの？」

『へ？』

「悪役だし、Aの好みじゃないかと思ってたんだけど」

『…んー、まあ確かにそうなんだけどね、』

答えかけて、一旦言葉を区切る。
一呼吸おいてから、小さく言った。

『…声が、好きなんだもん』

悠一くんの前で言わせないで、と内心文句を付け足す。

ちらりと彼を横目で見ると、珍しく照れてしまったご様子で。

「お前…それ本人の前で言うか？」

『ごめん、でもこれ以外理由ないし』

「あっそ……」

照れてる？と聞くと、悪いかよ、との返事。
そんな彼を見ていると、なんだか急に愛しくなってしまい、私は彼に横から抱きついた。

「うわ、なに」

『…悠一くん、』

「はい」

好き。大好き。

横腹に顔を埋めながらそう紡ぐ。

「…なんだよ、急に」

『悠一くんがかわいいから』

「はぁ？」

意味わからん、といいつつも私の頭や背中をぎこちなく撫でてくれる彼。


そーゆーとこが、好きなんだって。

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