いつも隣で【男性声優】

酔っぱらい(神谷浩史) ページ1

今夜は先輩である神谷さんに誘われ、二人で
居酒屋に来ていた。

『神谷さん、あんまり飲みすぎないでくださいね？』

と、着いてすぐ、お酒に弱い彼に忠告しておいた。
…はずだったのに。

「A〜、ねえ〜聞いてるぅ？」

『…はい。聞いてます』

「だからねえ、かわいい子ってのはやっぱり…」

見ての通り数十分でベロベロに。
何やら女性声優について語っていらっしゃるみたいだけど、呂律が回っていない。

「○○ちゃんは本当にかわいいよね〜」

「ああ、□□もめちゃくちゃかわいいねえ〜」

「◇◇ちゃんはね、もうマジでかわいいよね〜」

ご機嫌そうに喋る神谷さん。

人気な女性声優さんの名前を挙げては、かわいいかわいいと絶賛している。
私はただ適当に相づちをうっているだけ。

_____でも、ふと、口を挟みたくなった。
こんなこと言ったら、困るだろうか。

『…神谷さん、』

「んん〜？」

『……私のことは、どう思ってますか…？』

言ってから軽く後悔したけれど、もう遅い。

ちらりと彼を見ると、一瞬目を丸くして、
すぐにふにゃりと笑った。

「Aは世界一かわいいよ〜」

その笑顔と、とろけたような声と、何よりその言葉に、私はとてつもなく幸せになった。

『…ありがとうございます』

そして、彼に聞こえないように呟いた。

『でも、私の世界一は神谷さんです』


〜後日〜

「え!?俺そんなこと言った!?」

『はい、確かに!』

「うわ〜…はっずかし…」

『ちなみに、あれ嘘ですよね？』

「え？」




「……さあ、どうだろうね」

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