絶対王者の片割れは。3【HQ】

No.134 ページ41

岩泉side


観客席に挨拶をしに行く。


あれを決められずに…

__何がエースだ!!!


涙が止まらない。
唇を噛み締めて、涙を止めようとするのに、

自分への叱責と、後悔と、そして悔しさ。

全部、重くのし掛かる。


_ドスッ

岩泉「!?」

いきなり背中に強い衝撃が来た。

俺の横を、真っ直ぐ前を向いた及川が通りすぎていく。

ドシッ、ドムッ、ドッ

それから3人分。

背中をひっぱたかれて、それでも皆前を向いていた。

……励ましとか、そんなもんじゃない。


3年間、ずっと一緒にバレーしてきたこいつら。

及川が、花巻が、松川が、Aが、

誰か一人でもかけてたら、駄目だった。


俺は、"エース"にしてもらった。


だったら俺は、

最後まで"エース"として。


しっかり前を向かなきゃいけない


及川「ありがとうございましたッ!!」

「「「ありがとうございました!!!」

青葉城西高校:宮城県代表決定戦、準決勝

敗退



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Aside


A「…ちょっと顔洗ってくる」

花巻「了解」

皆がバスに荷物を積んでるのを見ながら、俺は水道場まで行った。

顔を洗いながら、ふと影が出来たのに気付いて上を見る。

そこには、若利がいた。

A「…若利」

名前を呼んで、顔についている水を拭う。

A「…負けた」

若利「あぁ」

唇を噛む。

必死に、目から溢れ落ちそうになるものを抑えていた。

A「…でも、全力だった」

…やっぱり、駄目だ。

抑えられない。

涙がまた溢れてくる。

A「……俺は、もっともっと強くなる。

なぁ若利」

若利「ん、」

A「…次お前と戦う時は、絶対俺が勝つ」

若利は挑発的に笑って、頷いた。


若利の背中を見届けながら、俺もバスへ戻る。

本当に、くやしい。

でも、それは全員が全力だったからこその悔しさで。


バスの中で、となりに座る花巻へ言う。

A「…疲れた」

花巻「んは。超頑張ったもんな〜」

おお、と笑う。



A「…春高、行きたかったな」

花巻「…うん」


それから少しだけ、泣いた




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