絶対王者の片割れは。3【HQ】

No.97 ページ4

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新1年生の入部から数日。

今日も練習に励む俺達は、監督とコーチの元にに集合した。


入畑「…来週の日曜日、烏野高校と練習試合をする事になった」


その言葉に、俺達の反応は大きく2つに別れた。

1つは、練習試合に期待を膨らませるもの。
1つは、「烏野高校」に首を傾げるもの。

俺は、どちらでもなかった。

「烏野」……去年見た、伊達工との試合。
エースが、折れてしまったチーム……

そんな時に、後輩の話し声が聞こえた。


後輩「…確か烏野って、"落ちた強豪・飛べない烏"って呼ばれてるんじゃ……」

…飛べない烏、か。


あの時の烏野は、まさにそう表現するのが正しい感じだった。

エースが折れてしまったことで、チーム全体が落ちていった。


……でも、今はどうだろうか。


期待
高揚

そんな感情が胸の中で広がっていく。


烏は、果たして羽ばたくのか


溝口「お前らも知っている奴はいるだろうが…影山飛雄が、烏野にいるらしい」

国見「!!」
金田一「ッ!?」


影山飛雄…王様は、烏野に入ってなにか変わったのだろうか。


"王様"が来たことで、烏に変化はあるのだろうか＿＿


3年生だけがその場に残り、後輩たちは練習へ戻る。


及川「……あの、監督。俺からお願いがあるんですけど」

入畑「なんだ」

すぅ、と息を吸った及川は、こう言った。


及川「"飛雄を、セッターとして、フルで試合に出場させること"

練習試合条件として、烏野に伝えて下さい」


岩泉「ッおい及川…」


及川「お願いします」

及川は、頭を下げた。

その姿暫く見つめた入畑監督は、はぁ、と息を吐いて顔を上げなさい、と言った。

入畑「…良いだろう、伝えておく」

及川「!!ありがとうございます!」


そのまま体育館を去っていく監督とコーチを見送った俺達は、及川を見た。

及川は、怖いくらいに真剣な眼で、自分の手を見つめていた。


岩泉「……及川」

岩泉が声をかけると、及川は目を上げてへらっと笑った。

及川「大丈夫だよ、岩ちゃん。絶対負けない。それに……


俺は彼奴を正々堂々潰してやるんだからさ」


そう言った及川を、岩泉は見つめて、バンッと背中を叩いた。


及川「痛い岩ちゃん!」
岩泉「うるせぇ!」


いつも通りの会話を見ながら、俺は思う。


皆、皆前に進んでる

自分で、一歩を踏み出してる


_じゃあ、俺は?

何も、出来てない



変わらなくちゃいけない


俺は、自分の手を見つめて、そして俯いた。



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