No.118 ページ25
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若利と別れて、体育館に戻った俺は、仲間達の暖かい笑顔に迎え入れられた。
花巻に、どうだった?と聞かれて、俺はVサインを片手で出す。
それを見て、花巻は自分の事の様に、嬉しいと言ってくれた。
こんな事を、考える。
青城に入って、とてつもなく逞しい先輩方に、頼りになる後輩、切磋琢磨出来る同輩達に恵まれた。
敗北に再び立ち向かう事を教えてくれた監督に、戦う為に何をすべきか示してくれるコーチだっている。
なにより、俺を仲間だと言ってくれる皆がいる
俺を親友だと言ってくれる花巻がいる
俺は常に、暖かいものを与えてもらっている
中学時代。
俺はバレーを愛する事を忘れていた。
バレーを楽しむという、根本的でとても大切な事が抜け落ちていた。
憎い、羨ましい、妬み
そんなものにばかり目がいってしまった。
及川に岩泉がいるように、傍には誰かがいる。
人は、1人では生きていけない。
1人が怖いと思った。だけど本当は、ずっとずっと前から俺は1人じゃなかったのだと思い知らされた。
皆が俺の名前を呼んでくれるばかりでなく、俺の事を誇りだと言って胸を張ってくれる。
白鳥沢中等部の皆が、バラバラの方向を向いていると思いきや、同じものを向いていた。
思い出した記憶の中の若利は笑っていた。瀬見も獅音も、山形も、皆笑っていた。
母さんも、笑ってた。父さんが居た時の家族の思い出。
その中にいる俺も、いつも笑っていた
俺は最初から 独りじゃなかった
花巻が教えてくれた。「頼れ」と言ってくれた。花巻が言ってくれた様に俺も言ってやりたい。「俺を頼って」と。
なかまたちは笑顔で俺に言う。
「お前は俺たちの仲間だ!!」
ならば、もう少しだけ甘えてみよう。
その代わり俺は、もっともっと強くなる。
皆と最後の最後までコートに立つために。
そしていつか自信満々で言ってやるんだ。
「俺が、皆とのバレーを誰よりも楽しんだ」
俺は仲間達の元へ、駆け出した
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次回から春高予選いきます!とうとう本当に終わりに近づいてきました……
最後まで、是非ともご愛読ください!
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waka(プロフ) - 稲荷さん» 一章の時からずっと応援してくれて、本当に支えでした。感謝してもしきれないし、稲荷さんがいてくださって、多くの読者様が応援してくださって。私の方こそ、稲荷さんに会えて良かったです!私に出来る事は少ないですが、稲荷さんの事を、私もずっと応援しています! (2021年8月9日 12時) (レス) id: e247cabc05 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 稲荷さん» 稲荷さん!すっごく会いたかった(?)です!ありがとうございます!そうなんですね、お疲れ様です。稲荷さんが夢中になれて、それで良い結果が出せていたと知って嬉しい限りです!泣かれたんですか!?嬉しいような…何というか……wずっとありがとうございました!! (2021年8月9日 12時) (レス) id: e247cabc05 (このIDを非表示/違反報告)
稲荷 - えーっと、2連続コメお許しください。すっごいすっごい熱い物語でした!凄く夢中になれました!wakaさんのこの小説のおかげで(?)バレーで良い成績を残せています!なんだろう、wakaさんの小説に、wakaさんに出会えて良かったです!これからも応援しています!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: 5c3b21ca8d (このIDを非表示/違反報告)
稲荷 - wakaさん、稲荷です。(いや分かるか)完結おめでとうございます!!家庭で色々とありまして、長らく見ることが出来ていませんでした。一気見しました。なんだろう。何か言いたいんだけど泣きすぎて何言ったら良いか分かんないやwとりあえず、お疲れさまでした!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: 5c3b21ca8d (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぴの。さん» ありがとうございます!ぴの。さんの言葉がとても嬉しいです…!私のお話に出逢えた事が良かったと言ってくださると、書いた甲斐があったな、ととても幸せな気持ちになりました。約半年の間、読んでいただき、本当にありがとうございました!! (2021年8月7日 18時) (レス) id: e247cabc05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:waka | 作成日時:2021年7月18日 12時