【刀剣乱舞】名もなき梅には鶯を (ページ10)

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前田利家。

四男ながら初代加賀藩主と成った戦国武将。

織田信長及び柴田勝家の臣下であった。

”槍の又左衛門”と名を馳せ、赤母衣衆を率いた。

信長の死後、柴田勝家と、同僚であった豊臣秀吉が対立。

初めは臣下故柴田勝家の下で戦っていたが、

賤ヶ岳の戦いでは豊臣勢としてしんがりを務めた。

全ては、前田家を守る為であった。

私は知っている。

あの御方は、短気だが恩義は忘れぬ。

兄君、利昌様から受け継いだ家督。

御館様から賜った命を果たすべく、奔走。

先の賤ヶ岳も、苦渋の決断であった。

利家公は、戦国武将らしからぬ義の厚さであったのだ。

その御心は、御子息にも受け継がれている。

それどころか、おまつ様にもだ。

故の、百万石という巨万の富を築き上げた。

私はずっと見てきた。

戦に出ぬようになっても、城の中で見つめた。

あの御方の槍で良かった。

心からそう思っている。

「……ときに長谷部」

「なんだ」

「私は、御館様をうつけとは思わぬ」

故に、あの御方が慕っていた御仁を貶すのは許し難い。