【ハイキュー】毎日を、君と【短編集】 (ページ9)

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無気力彼女と俺と【菅原】　※菅原side ページ9

「おーいA～、どこだ～？」

部活の休憩中。

いつの間にか脱け出していた彼女のAを捜す俺。

「スガさんっ！俺たちも一緒に探しましょうかっ！？」

西谷と田中が申し出てくれた。

けど、俺はそれを断る。

「んーや、大丈夫。お前らはちゃんと休んどけなー」

そう言い残して、部室近く……中庭へ続く道をキョロキョロと見渡す。

「A～！」

もうちょい大きめの声じゃないと、彼女は気づいてくれないかもしれない。

何故なら＿＿

「……あ、いた」

木の下のベンチで気持ちよさそうに眠っているAを見つけた。

そんなにまだ寒くない筈なのにマフラーを巻いて、ちゃんと木陰に顔が来るように寝ている。

そう言うとこは頭がしっかり回るのな。

「ほらA、起きろって。お前が練習観に来るって言ったんだろ？」

「…んー……」

つん、と柔らかい頬をつつくと、小さく声を漏らす。

そんな姿が愛おしくてずっと寝かしておいてやりたいけど、風邪をひかれたら困る。

「ほら、外は虫もいるし風邪ひくべ？」

「……ん、あ……こーちゃん」

え、今気付いたの？

薄く瞼を開いて、俺の姿を確認したのかぽそりと呟くA。

「…………なんか、にねんにみられるの、やだ」

「え？」

……ああ、と思い当たる節を見つける。

田中と西谷だろう。

Aは３年の中でも相当可愛いから、アイツらが見るのも仕方ないよな。

いや、贔屓目とかなくホントに可愛い。

学年一の”綺麗”が清水なら、学年一の”可愛い”はAだって、皆言ってる。

俺にはそれ以上に可愛く見えるけどな！！(彼氏バカ)

「あいつらには俺から言っとくから、体育館戻ろ、な？」

彼女が他の男にジロジロ見られるってのは、彼氏としても喜ばしくは無いしな。

「……ん」

ゆっくり身を起こして、瞼をこするA。

「あんまりこすったら腫れるからやめなさいー」

「おかあさんっぽい」

何？

それは聞き捨てならない。

彼女の小さな頬を摘み、優しく引っ張る。

「俺は、お前の彼氏でしょーが」

「あい」

あ、可愛い(確信)。

あんまり表情が変わらなくて、無気力な彼女。

でも、そんな彼女は、俺の最大の自慢。

俺は可愛い可愛いAといられて、すっごく幸せなのだ。