長女と末っ子、大逆転【木兎】 赤葦side(まさかの第三者) ページ4
「Aーっ!!」
「……光太郎煩い。スコア付けてるんだから黙ってて」
「構ってくれよー!!」
「だから、煩い」
今日もマネージャーであり木兎さんの彼女であるAさんに叱られている木兎さん。
Aさんは、所謂クールビューティーと呼ばれる類の人だ。
成績優秀のしっかり者で、監督、コーチは勿論の事学校中の先生も彼女を信頼している。
無論、俺も。
人格者であるし、何より木兎さんの手綱を握れるのは彼女しかいない。←
木兎さんも彼女にべったりだし。
……でも今、練習中ですよ←
はぁ、と残りのメンバーで溜め息を吐く。
俺たちはいつも思う。
木兎さんが”末っ子”なら、
Aさんは、疑う余地も無く”長女”。
だけど。
「A!」
「……っもう、だからうるさ…」
コツン。
木兎さんにしては珍しく(失礼)、優しい手振りと勢いでAさんと自身の額を合わせた。
「こっち、見ろって」
「っ」
Aさんは気まずそうに、辛うじて目だけを反らす。
どうしたんだろうか。
「なーに隠してんのかと思ったら、やっぱ熱あったかー!」
「「「!!?」」」
全員が驚愕のあまり二人を二度見してしまった。
「は、何言ってんの。熱なんてないから……離してよっ」
「いや、練習してる俺より熱いんだから熱あるだろ!ちょー熱ぃぞ!!」
いやいやともがく彼女に対して、力の強い木兎さんはびくともせずにむうと口を尖らせて居る。
……何だこの光景。
勿論Aさんのことは心配だ。
木兎さんがいち早く気付いたのも驚きだ。
だけど、今はそんな事より。
「お前ら、イチャつくんなら俺らの前ですんな」
木葉さんが全てを代弁してくれた。←
「はぁっ?べ、つに、いちゃついてなんかないっ」
Aさんは反駁するけど、木兎さんはキョトンとしている。
「……監督」
ちらりと監督を見やると、監督も承知していたように腰を上げた。
「もう今日は終わる。木兎、Aを連れて帰れ」
「!!オーッス!!!!」
「や、ちょっと降ろしてよっ」
「お前は今早く家に帰って寝なきゃいけないだろー!」
監督から許しをもらうやいなや、木兎さんはAさんを抱えて、
……お姫様抱っこで抱えて、彼女の腹の上に自分の鞄と彼女の鞄を置いて、
「後は頼んだぜあかーし!!お前ら!!じゃーなっ」
と夜空の彼方に消えて行った。
……今日は、
「”末っ子”が”長男”みたいになってたなぁ……」
感謝が言えるのは【二口】 二口side→←厳しい、優しい【澤村】
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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (レス) @page22 id: a648931a76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:烏丸 | 作成日時:2016年11月13日 14時