熱に浮かされ【星海】 ページ23
長野県の冬は寒い。
だから少し、なめていたのかもしれない。
東京の、冬を。
「あちゃ〜、高いね」
お母さんに学校へ連絡してもらって、お休みすることにした。
春高が終わって、三学期が始まる日だった。
結局、春高は準決勝で負けた。
準々決勝の対戦相手……烏野だっけ。
あそこの10番と、発熱仲間だなぁなんて。
ぼんやりと、春高を思い出す。
光来くん、楽しそうだったな。
特に烏野10番は、彼にとって良い出会いだったみたい。
眼に、闘争心を燃やしていた。
……綺麗だったな、光来くん。
きらきらと輝く照明を浴びて、誰より跳んで。
たくさんの努力を自信に変えて、活躍した私のヒーロー。
大切な、私の恋人。
……たまにはこんな日があってもいいや。
光来くんのことを考えながら、私は眠りについた。
目を覚ますと、部屋は暗くて。
電気をつけてスマホを見ると、……え。
着信。光来くんから。
2分くらい前のことだから、慌ててかけ直す。
「……あっ、もしもし」
『おう。風邪引いたってお前のクラスの奴から聞いた。
大丈夫か？』
電話越しの光来くん。少し声が低く聞こえてドキドキする。
「うん！朝より大分楽になったよ。……そろそろ時間。
練習でしょ？」
『や、何人かインフルらしくて今日休みになった。
Aは？インフルじゃないんだよな？』
「うん。普通の風邪みたい」
『そうか。なら良かった』
優しい声。光来くんの全部が好きだ。
「……あのね。寝ながら光来くんのこと考えてたの」
『！！』
「春高かっこよかったなぁとか、負けて悔しかったとか、
ほんとにたくさんのこと考えてたんだけど……やっぱり、
最後は好きだなぁって思うの」
熱でふわふわしているからかもしれない。
いつもより、言葉がするすると口を出ていく。
「大好き」
へへ。言っちゃった。
そう思ってると、突然電話口がガチャガチャと鳴る。何怖い。
『〜〜っお前、覚えとけよ……！！』
「？うん、いつも思ってるよ」
『っば……！！……れも、好きだ』
最初は慌てながらも、そう言ってくれる光来くん。
そっか。光来くんも私のこと好きでいてくれるんだ。
嬉しいな。
素直に伝えられるようになるなら、熱にも感謝かも。
そう思って笑うと、何を勘違いしたか光来くんは
『何笑ってる！』
と怒るのだった。
後日、私が詰められるように好きと言われ、
たじたじになる光景が繰り広げられていたのは言うまでもない。
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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (
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作者名：烏丸 | 作成日時：2016年11月13日 14時
