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運の尽き【天童】 ページ20

高校1年、春。

隣の席の赤い髪。大きく開いた、でも静かな眼。

それが、私をじっと見つめていた。

「……?」

怪訝に感じながらも、負けじと見つめ返してみた。

それが、運の尽きであったのだ。



「Aチャーンおはよっ!!」

「げっ天童!」

あれから毎朝毎朝毎朝!!!!

天童覚は私に絡んでくる。

私は平穏に暮らしたいのに!全国常連の男子バレー部の、

それもスタメンなんかに絡まれたくないのに!!!

こいつがバレー部だって知っていれば、

あのとき飛ばされたガンに対抗することも無かったのに!

そんなことを言ったって後の祭り。もう手遅れである。

「Aチャン今日のお昼は「お弁当」一緒に

 食べたっていいジャン!」

「いや大丈夫です」

「大丈夫ってOKってことだよね!迎えに行くネ!」

……ムカつく!!!

苛立ったまま階段を駆け上り、席に着いて項垂れる。

「……うぅ、疲れた」

「朝からお疲れ、その……天童くんのこと」

中等部から仲のいい友人が労いの言葉をかけてくれる。

「何で天童くんもAに絡むんだろうね?」

……確かに。

そもそも、私は何でこんなに天童に気に入られてるんだ?

……まて。

気に入られている要素を見つけて、それをやめれば、

天童はまとわりついてこなくなるのでは?

やば!今日の私めちゃくちゃ冴えてるかも!

「やっぱA「今日こそ平穏を手にする!!」あ、そお」

友人がなにか言おうとしていたけれど、気にならなかった。

今の私は、希望でいっぱいだった。



……何、この状況。

食堂から中庭に場所を変えて、私は天童に、

天童に、抱きしめられている……?

「???」

「フフ、Aチャン顔真っ赤〜……ホント、かーわい」

い、いや!誰だって異性に抱きしめられたら緊張するし!

しかも何か、天童、ひょろっとしてるから印象薄いけど、

筋肉がしっかりしていて、力も強くて、な、なんか……

「お、おとこのひと……」

「ソウダヨ〜?おれ、男なの。

 それもAチャンのことがだぁいすきな男」

ぎゅむ、と力を込められて、更に心臓が逸る。

「一目惚れだったの。Aチャンと目が合って、

 話せるだけでおれ、嬉しいのヨ」

身体が離れて、顔を覗き込まれる。

いつもの笑顔。それに加えて、少し赤い頬。

「……おれのこと、意識してくれた?」

し、してやられた。

きゅ、と細められた目の奥が私を捉える。

あぁくそ、これは。

……時間の問題かもしれない。

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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (レス) @page22 id: a648931a76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:烏丸 | 作成日時:2016年11月13日 14時

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