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まもりたい【国見】 ページ16

水も滴るいい女。なーんて。

そう思いもしなければやってられないのだ。

くだらないやっかみを受ける身としては。

体育館脇の水道でずぶ濡れの私は、

青葉城西高校女子バレー部のマネージャーである。

しかし誇らしいことにうちの選手層は厚く、

下級生に仕事を振れば私の手が空くことも多い。

そんなときは、男バレの手伝いをするのだ。

しかし、そうすると問題が起こる。

及川先輩のファンから理不尽に恨まれるのである。

私が北川第一中出身なこともあるのかも。

そんなわけで、今日は部活の終わり際に水をかけられた。

甲高い笑い声だけ投げられて、私は中庭に取り残される。

悲しみはない。あるのは怒りと、少しの虚しさ。

「……こんなことされるために、マネやってないんだけど」

さっきのは多分、2年生だろう。

私みたいなぽっと出の1年が、という気持ちもあるはず。

「……A、どうしたの」

体育館のドアから声がして、振り向くと国見英。

中学からの同級生だ。

「あー……やらかしちゃ、って……?」

誤魔化すの下手か。

自分で突っ込んでるうちに、国見が駆け寄ってきた。

「今日もういいから着替えろよ。どうせもう終わるし」

「えっでも」

渡されたのはタオル。自分のあるのに。

「及川さんと監督には言っとくから、ほら早く」

ぐい、とタオルを押しつけられて、気付く。

「うん……」

白いシャツの下、下着がうっすら透けていた。

このまま体育館に戻っていたら、恥晒しもいいとこだ。

……借り作っちゃったな。



「ありがと、国見」

部活後、国見が送るといった。珍しいこともある。

金田一は自主練らしい。

「別に……つか、誰にやられたんだよ」

バレてら。誤魔化すの下手な私も悪いけど。

「……知らない先輩。及川先輩のファンじゃん?」

努めて軽く言うと、国見は眉をひそめる。

「……手伝いとかやめれば。そしたらそんな風に

 水ぶっかけられることもないだろ」

「そうね……」

つい、生返事をしてしまう。

国見たちが全国に行くための協力は惜しみたくない。

「……及川さんとファンの問題にお前が巻き込まれて

 傷つけられてんのとか嫌なんだよ」

ぴた、と足音が止む。

国見を見ると、国見もこちらを見ていた。

いつになく真剣な瞳に……釘付けになる。

その先の言葉を、期待してしまう。

「……好きなやつが傷ついてるの、見たくない」

沈黙が続く。

私の返答を知るのは、国見だけ。

お互い様【宮(侑)】→←攻略対象【孤爪】



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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (レス) @page22 id: a648931a76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:烏丸 | 作成日時:2016年11月13日 14時

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