【ハイキュー】毎日を、君と【短編集】 (ページ14)

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やくそく【西谷】ページ14

『ーーそんときは、おれが貰ってやるよ！』

私はいつまでも胸に抱えている。

だいすきな人に言われた、その言葉を。

「潔子さん、お綺麗です……！」

「ふふ、ありがと」

ウエディングドレスをまとった、まさに女神。

大好きな先輩。

今日は、潔子さんと田中の結婚式だ。

久しぶりに集う、高校時代の仲間たち。

その中には、彼もいるはずだ。

未だに焦がれている人。

その小さくて大きな背中を、探してしまう。

「西谷……！」

「お？おう！久しぶりだなA！！」

目が合えば、変わらない笑顔を見せてくれる。

あぁ、私は……西谷夕が、だいすきだ。

「ひ、久しぶり……！帰国のタイミング良かったんだね」

「さすがにおれも龍と潔子さんの結婚式は来るわ！

　まぁ連絡が3日遅かったら今頃チリだったけどな！」

カラカラと笑う西谷は、高校のときと変わらない。

相変わらず、だいすきな西谷のまま。

「西谷も、日向も影山も、ほんとすごいよね……

　海外に行ったりプロになったり……改めて、

　やばい人たちと高校生活を過ごしてたんだなって思った」

「やりたいことがあるから、迷う必要がねえんだよ。

　お前は迷ってるっつってたよな。見つかったか？」

うっ。思わずギクリと肩を揺らしてしまう。

高校生のとき。

進路に悩む私は、西谷の進路を聞いたことがあった。

『おう！おれは金を稼いだら海外を飛び回るぜ！！』

西谷に聞いたのが間違いだとすぐに気づいた。

でも、迷わずにいえるのが羨ましくもあって。

私にとって西谷は、ずっと眩しい人だった。

「うーん……結局、見つからなかったんだよね。

　今は何となく働いて何となく生活してるって感じ。

　い、一緒になりたいひとはいるんだけど、その……」

隣をちらちらと確認するけど、西谷は気づいてない。

「何だよ。Aは良い女なんだから自信持てって！

　当たって砕けろ！砕けたらそんときはおれが貰って

　やるからよ！！」

……その言葉。二言はないよね？

ねぇ西谷。私ね、自分のやりたいことはないの。

でも、あなたと同じ世界を見たい。

あなたの隣にいれば、私はどこにだって行きたい。

それが地球の端っこでも、地獄だって。

「……西谷、好き」

「おう！……エッアッ……！？」

「私のこと、貰ってくれるんでしょ？」

自分の声は震えているけど、言えた。

西谷は真っ赤な顔で固まって、でも次の瞬間には、

「おっ男に二言はねぇ！！結婚するぞ！！！」

と叫んだ。