壁を【茂庭】 ページ12
「要ー！これ、先生が」
担任に頼まれたプリントを彼に渡す。
「あ、ありがとうA」
要が笑うと、癖のある黒髪が微かに揺れる。
「何で先生は、いっつもAに頼むんだろうな〜？」
「さあ？別にいいじゃん何でもさー」
「まーなぁ」
言えない。
いつも私が渡しときますって言ってるだなんて。
……好きだから。
私と要は部活もずっと一緒で、仲も良い。
けど、その距離が近くなりすぎて、
その先に進もうとして拒まれるのが恐くて、
臆病だから、曖昧なままずっと付き合ってきた。
「今日は二口たちのとこに３人で行ってくるけど、
Aも来る？」
「この前も君ら行ってたよね……？」
まあ、君に誘われたら行くけどさ。
「アレ、また来たんでー……Aさんも？」
「ヤッホー二口。舞も元気？」
「はいっ、A先輩！」
俊足でやってくる舞。かっわいい。
「先輩、キャプテンとはどうですか？」
ニッコー！と背後に見えそうなほどの笑顔。
興味100％か。
「……あはは、今はそれ所じゃなくってさ。
やっぱ高望みしすぎたかも」
大学も、要のことも。
元々、私なんかには勿体ない人なんだ。
「そんな……A先輩はっ！凄く素敵な人ですよ！」
「舞……」
「そうだぞ〜。3年間俺達といてくれて、滑津呼んで、
問題児たちの手綱引いててくれたんだからな〜」
「かっ要……！」
二口たちとじゃれてた筈なのに、いつの間にかこっちへ。
「特に俺はAの良い所いっぱい知ってるぞ〜！
だから自信持て！」
にっと無邪気に笑う要に、胸がきゅっとなる。
……あぁ、好きだなぁ。
「ありがと、かな、め……」
前を向くと、要は顔を真っ赤にしていた。鎌ちや青根も。
二口とか笹やん、舞はニヤニヤしている。
……どういうことだ。
「Aさん茂庭さんのこと好きなんスかっ！！」
「ひぃっコガネ……！？いきなり何を……！」
「え？今、自分で言ってたじゃないスか！！」
嘘。
口にでてたの。
「アララ〜茂庭さん、ちゃんと返事しないと」
黙れ二口お願いだから！！
「〜〜っA！コッチ！！」
要に手を引かれ、体育館を出るなり肩を掴まれた。
「おっ俺、二口みたいにイケメンじゃないし、
特別な何かなんてないけど！お前を幸せにするから、
こんな俺で良ければ付き合ってください……！」
真っ赤な要。
想いの壁があると思ってたのは、私だけだったのかも。
「私こそ、お願いします」
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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (
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作者名：烏丸 | 作成日時：2016年11月13日 14時
