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コンプレックス【夜久】 ページ11

「おはよーA」

「あっおはよー夜久!今日も小さいね!!」

「あ?」

ゲシッとふくらはぎを蹴られ、あたしは軽く呻く。

「いたっ、痛いよ夜久!女の子を蹴るなんてどういう了見なのさ!」

「お前は名誉毀損で訴えるぞ。俺よりちょっとデカいからって調子乗んな!」

4cmはちょっとなのだろうか。

「まあ、あたしにとってはコンプレックスでもあるんだけどね〜」

好きな人よりデカいって言うのはさ。

そう、何を隠そうあたしは夜久が好きなのだ。

こうやってからかうのも、少しでも君と話して居たいから。

ショートが好みだと聞いて、切りそろえたりもした。

「おっどうした、失恋か?」なんて聞かれた時は流石にへこんだけど。

寧ろそれが失恋しました感あったけど。

「よしよ〜し、辛い事は忘れろよ〜!!」って、頭をくしゃくしゃにされた時は、ああって。

やっぱり好きだなって、胸がキュンとなった。

ああもう、あたし、夜久にベタ惚れだな。

「おーい何してんだA?早く行かないと授業遅れるぞ〜」

気が付けば、夜久は前に居た。

「ん、今行く」

傍に居られたら、ただそれだけで嬉しくて。



「……で、夜っ久んとはどーなんですか?Aちゃん」

「ばっ、声がでかい!!」

慌てて黒尾の口を塞ぐ。と言うか顔を叩く。

黒尾は「ぶべっ」と残念極まりない声を発した。

「わりーわりー。で、どうなのよ」

「はぁ、言わなくても判んでしょ?今まで通り”仲のいいクラスメイト”ですよ!!」

何にも進展しませんよ。

「そーかぁ?今日、夜久の方から挨拶してたろ」

「何、どっかから見てたの、きも。きも」

「2回も言うなよ」

いや普通にきもいと思うでしょ。

「……夜久はどうせ、自分より小っちゃい子の方が良いんでしょ。もう絶望感しかないし」

何でこんなでっかくなっちゃったんだか。

「おいA」

黒尾の低い声に、ビクリと体が揺れる。

怒ってる……?

「夜久は見た目で好きな奴を選ぶほど、単純じゃねえぞ」

解ってんだろ。

黒尾の強い口調に、何も言えなくなる。

そうだ。夜久は、見てくれだけで人を判断しない。

……あたし、ひどいな。

「……まー元気出せ。良い事教えてやっから」

「え?」

俯いて居た顔を上げると、黒尾が耳打ちしてくる。

その内容に、ボッと熱が集まった。


『夜久が言ってたぞ。「Aは自分より小さい奴は、嫌なのかな」ってよ』


……そんなの、期待せずには、居られないじゃん。

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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (レス) @page22 id: a648931a76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:烏丸 | 作成日時:2016年11月13日 14時

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