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プレゼント【黒尾】 ページ2

「……ね、ねえ研磨」

「なに」

目の前には、携帯型ゲーム機をピコピコ鳴らす同級生、研磨。

「……なんでもなくはないけど、やっぱなんでもない」

「何それ。て言うかそわそわし過ぎ」

「だ、だって!」

だって今日は……

「何でそんな、クロの誕生日にAが緊張してんの」

そう、黒尾さんの誕生日なのです。

研磨の紹介で去年の春、初めて逢った。

変な髪型にニヤニヤした笑い。嘘ばっかり言うし、第一印象は苦手だった。

けど、バレーは。

真剣で格好良くて、頼もしくて。

あっという間に惹かれてしまった。

黒尾さんも私の事を気に入ってくれてたみたいで、お付き合い。

もう1年半になる。

「去年もやったじゃん。何がそんなに緊張させるの」

「もう、研磨は解ってないなあ!だって今年が最後なんだよ!?高校の!」

そんな不毛な言い合いをしている内に。

「オース……お、研磨珍しく早いな」

――――来た。

「Aも。もうドリンクもタオルも準備してくれたのか。サンキュ」

いつもの様に笑いかけてくれる黒尾さん。

その、バレー部にしか見せない本物の明るい笑顔に、毎日毎日キュンと来てしまう。

ああもう、好き。

「あっく、黒尾さん!」

「どした?」

私が注意をひきつける間に、夜久先輩と海先輩が先導して準備。

さ、流石。素早いです。

「は……」

「は?」

「「「ハッピーバースデー、黒尾(さん)!!」」」

クラッカーの弾ける音。

去年よりも盛大に響いたそれに、さすがの黒尾さんも驚いた様だ。

「春高予選前の景気付けも兼ねてだな!」

夜久先輩が、照れ隠しかそう言う。

それも見ぬいているのだろう、黒尾さんは「そうだな」と笑った。

「黒尾さん、う、嬉しい、ですか?」

「当たり前だろ?こんな良い仲間と、可愛い可愛い彼女に祝って貰えるんだからな」

そう言う事を平気で言うから、本当に心臓に悪い。

「……で、どんなプレゼントをくれるのかね、その彼女は」

「や、夜久先輩っ!」

先輩までからかうように言うなんて。

「あ、あ……え、と、ですね、」

言葉がつまってしまう。

黒尾さんはニヤニヤしている。完全に私で遊ぶ顔だ。

「〜〜〜〜っ!」

「おわっ……」

真っ赤なジャージを掴んで、引き寄せる。

「!!」

恥ずかしくてほんの直ぐに離してしまったけれど、私は真っ赤だ。

黒尾さん。



この一瞬を、貴方はプレゼントと受け止めてくれますか。



【黒尾鉄朗生誕祭2016】

厳しい、優しい【澤村】→←愛情【及川】



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ちくわ太郎(プロフ) - 一つ一つの話が最高過ぎる (3月23日 2時) (レス) @page22 id: a648931a76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:烏丸 | 作成日時:2016年11月13日 14時

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