【ハイキュー】毎日を、君と【短編集】 (ページ1)

今日:22 hit、昨日:22 hit、合計:7,171 hit

愛情【及川】ページ1

＿＿＿＿別に、気にしてない。

＿＿＿＿覚悟はしてたし。

意味のない言い訳が、頭の中を飛び交っては消えていく。

私の彼氏、及川徹は後輩と他校の女子にモテます。

同輩は無い。だって性格悪いから。←

え、彼女がこんな事言ってていいのかって？いいよ。

ほら、今も。

「皆ありがとうね～」

キラキラのアイドルスマイルで、廊下を闊歩する。

馬鹿じゃないの。

どうせ私なんか可愛くないし、遊ばれてるんでしょ。

知ってるわよ。

「おい、A良いのか？」

「……岩泉」

隣にいるのは及川の相棒、岩泉。

私の良き理解者だ。

「……いいよ。どうせ私なんて」

「お前なぁ……及川も及川だが、お前も大概だぞ」

岩泉の言葉に、怪訝に眉を寄せる。

「たまにはワガママ言って、甘えたっていいんじゃないか？」

アイツも多分、それ待ってると思うぞ。

岩泉の言葉に私は、イマイチ頷けなかった。

「ね、ねえ及川」

「A！？どうしたの急に話しかけてきて、珍しいね！」

及川は心なしか嬉しそうだけど、多分希望ってだけ。

「べ、別に。何か用が無いと話しかけちゃ、ダメ？」

「！！いやいや全然良いよ！寧ろ嬉しいし！！」

その言葉に、内心安堵する。

「そうだ。今日放課後遊びに行かない？最近一緒に居られなかったし！」

「え、でも部活、」

「月曜だから無いよ！」

犬だったら確実に尻尾振ってそうな顔に、私の顔もほころぶ。

「うん」

以外の選択肢があろうものか。

「んっ……」

私より２０ｃｍも高い顔が、私に重なる。

優しく、今までの不安とかもやもやを、全部拭い去ってくれるみたいに。

放課後デートの帰り。

人気のない路地裏で私を隠すように抱き締めて、甘い甘い一瞬を味わう。

「ごめん、構ってあげられなくて」

だいじょうぶ。

なんて直ぐには言えないくらいには、寂しかった。

だから、ぎゅっとしがみつく。

彼の体温が伝わって来て、安心する。

「私も、素直になれないのが悪いんだし、おあいこ」

やっと絞り出せた声に、彼は安心した様で。

「……うん、ありがと」

へにゃりと笑った及川は、皆に見せる顔より全然優しくて、格好良い。

これを独り占めできる私は幸せ者、なんだって思える。

「好き」

「ん、俺も」

もう一度、影が重なる。

昼休みに頭を飛び交っていた言葉は、泡のように消えていた。