たとえ罪に呑まれても (ページ25)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:212,312 hit

. ページ25

.

カウンターに置いてあった携帯が震える。
メッセージだ。

タップして表示させたらAからのメッセージ。

[照くん、明日会える？]

昼間は彼氏と笑いあってたじゃねぇか。
なんてそんな事言える訳もなく。会えるよ。と短く返信をした。

一気に現実に戻された気がした。

俺は少し残ってた酒を流し込んでふっかに会計を頼む。

「あ、照。連絡先教えてよ。また呑も。」

立ち上がった俺の腕を掴まれた。

女もひょこっとスツールから降りる。
思ってたよりも背が高かった。
特に断る理由もなかったから連絡先を教える。

そんなやり取りにふっかは目を丸くしてたけど無視。

「じゃあな。」
「照、お前大丈夫か？」
「何が。」

「全部だよ全部！」

ふっかはまたスツールに座り直したあの女を盗み見してコソコソと話す。

「大丈夫じゃね？」
「お前、あんまり自暴自棄になんなよ。」
「はいはい。じゃあな。」

俺は店をあとにした。

「…疲れた」

そんな独り言が出た自分に驚いて。
酒を呑んでしまったから代行を呼んで家路についた。

家に帰って電気も付けずに真っ暗のままソファに座り込む。
目を瞑ればAの顔。
片時もAのことを思い出す。

Aは俺の事を考えるのか？
そんな女々しい考えを振り払って風呂へと急いだ。

.