たとえ罪に呑まれても (ページ24)

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「別になんもねぇよ」
「話してみたら？何も知らない赤の他人に話す方が意外とスッキリするかもよ」

見た目からは想像つかないような笑顔だった。
歯並びのいい歯をめいいっぱい見せるその笑顔。

酒も入っていたからなのか。
それとも、この女の言う通り赤の他人だからなのか。

俺は気がついたら口を開いて、Aとの事を話してた。

全て話し終わった時に、女をちらりと横目で見ればグラスをじっと、見つめてる。
想像してた話と違ったか？なんて笑ってみせる。

「無理して笑わなくていいよ」
「…は？」

「んふふ、なんか感情移入しちゃった。」

何故か泣く。女。
顔をパタパタと手で扇いでる。

「なんで、お前が泣くんだよ。」
「あはは…なんでだろ。わかんない。」
「やめろよ。俺が泣かせたみたいだろ。」

「ごっめーん。すぐ泣き止むから！」

おしぼりを目に当てて泣きながら笑うこの女。
ちょっとだけ心がなんとなくだけど軽くなった気がした。
誰にも言ったことが無かったAとの話を
登場人物でもない赤の他人の女が泣いてるのかちょっと笑えて。思わず笑ってしまう。

「照、笑った顔。最高じゃん。」

いつの間にかおしぼりから顔を話してた女は真っ赤にした目を俺に向けて眩しさすら感じる笑顔で言い放った。

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